雪組『凍てついた明日 ボニー&クライドとの邂逅』
オギー作品はフルコンプしたいと思っていて……。
これも良かったです、残酷で鋭利で精緻で、だけどその末に残って立ち現れるものは澄んでいて美しい。
ターグン主演ってくらいしか事前情報入れてなかったんですが、OPの歌がとうこさんで感動しました。
雪組時代のバウで男1&男2だったターとうが、星組でも一緒だったのなかなか良い話なのでは。
OPでは、周囲からのボニー、クライドの印象が語られます。
「周りからはこう見えていた
(けど実際はどうだったのかを、これからこの物語で追っていくよ)」
っていうテーマ付けがはっきりわかって、やっぱり上手いなと唸らされます。
タータンのお姉さんが五峰姐さんなんですが、すごくDNAのつながり感じて良い配役ですね。
後でお兄さんの奥さん役で美穂姐さんも出てきて、粒ぞろい時代の雪組だーッ! って震えます。
短絡的で火花のようなとうこさんジェレミーと、常に穏やかに微笑んでるけど、内面で静かに鬱屈している分タチの悪いクライドがいい対比。
けど、ジェレミーをかばって捕まってたりして、情には篤いんだな……って、一筋縄ではいかないクライドの内面がほどかれていく過程、ゾクゾクする。
幼なじみの保安官助手・テッドとも、嫌味混じりながら和やかな会話をするけれど、別れた後で、テッドは嘆息して
「きっと彼は僕らのもとに戻ってこない」
って言っちゃうくらいわかりやすく漂う、クライドの厭世感。
(知らなかったんですが、これ、かなめさんクライド、キタさんテッドで再演してるんですね……。当て書き感半端ない再演キャストだな……。)
グン様お芝居めっちゃ上手いですね!
小公演でヒロインやるグン様観るの初めてなんです。
自然かつ、繊細な「行間」のあるお芝居がすごく上手い。
元旦那のロイが捕まった話するところや、タバコの火断るところのナチュラルさ、世をスネてる感じがすごく迫真。
クライドの心にしょっちゅう蘇るのは、結ばれなかった昔の恋人・アニスとのやりとり。
農園の娘で、「お堅い」家の子だったんでしょうね。
「俺は君にふさわしくなかった」
「どうしてふさわしいように変わってくれなかったの!?」
と、台詞で畳み掛けて作品の流れを決定的にしていくオギー脚本……心に来る……。
「救いは要らない。欲しいのは真実だ!」
が、この作品の描くクライドの命題なのかな。
救いはないけど、真実を求める旅が始まります。
(後半で出てくる美穂姐さんは敬虔なクリスチャンで、やたら「救い」を強調するという役で、クライドのイズムを強調するいい対比になっています)
ボニーを慰めるキャンディ2つを手に入れるために、「強盗の真似」をするクライド。
元旦那が金庫破りだったと知り離婚したばかりで、自尊心が底をついていたボニーは、クライドの過激だけどおどけた優しさに癒され、かつ、クライドの柔らかいところを見て、包み込んでしまうんですね。
拘留されたクライドの脱獄を、「キャンディのお礼しようと思って」手伝う決意をするボニー。
2人と仲間たちの逃避行が始まります。
ギャング生活の楽しげな演出がかえって胸を締め付けます。
女性キャラクターの衣装は赤~ピンク系で統一されていて、これは蓮っ葉ぽさと血の気の多さの演出なのかなと思った。
ですが楽しい時間は長くは続きません。
世間と仲間内に不穏な空気が拡がりはじめます。
それを象徴するのがシビさんの歌&台詞。
シビさんは世界観を創りますよね……。
シンガー枠だけど、素晴らしい女優だなぁとも思います。
元カノのアニスと同じくらい、クライドの精神世界にしょっちゅう立ち現れるのは、クライドが内面化した「兄さん」。
心の中の「兄さん」と会話するクライドの、心細そうな感じといったら!
このときだけ少年の声に戻るんですよね……。
終盤に差し掛かって、逃避行の旅が詰みだすと、クライド自ら「兄さん」に
「そこにいないのは知ってるんだ」
って言っちゃうのが切ない。
世間にも追われ、仲間も散りだし、内面に築き上げていた依存先も、自分の手で消してしまう。
クライドは、どんどんボニーと「二人きり」になっていく。
互いを愛したい気持ちを伝える
「誰でも良かった。喩えあなたじゃなくても」
「誰でも良かった。でも君だった」
って会話、宝塚史に残る名ロマンス台詞なのでは……?
ジェレミーは帰る場所を見出し、その場所である恋人を守るため、結果としてボニー&クライドを裏切ります。
これにより、二人は完全に二人きりになる。
響く銃弾の雨音。
遺された者たちは、口々に二人について語ります。
傍目には救われなかった二人。
けど、二人にとっての「真実」、お互いの虚ろで柔らかい部分を埋める「愛」を手に入れたことが、ラストの「愛してる……」の歌で示されます。
二人とも全身白のお衣装なのは、婚礼衣装と死に装束を兼ねてるのかな……。
すごく頭と心使って、見応えのある本編に加えて、フィナーレも良い。
真紅タコ足ダルマの娘役勢最高か……。
着崩したスーツでドヤるとうこさんもたまらんし、タータンの大人の男の魅力も堪能できるし、やはりオギー作品は良いな……抜かり無いな……。
月組『パリの空よりも高く』新人公演
またしても、本公演を観る前に新人公演を観ます……(ノ∀`)
植爺演出ってことは知ってて、天使の季節みたいな寒~い「自称」コメディかと思ってたら、明るく可愛い、ちょっと青春モノの要素もある素敵なお話でした。
原作? 原案? があるとこんなにも違うものか……。
エッフェル塔ができるまでの物語なんですね。
あ、脚本は「同じこと3~4回くり返す」植田節でしたけどね!
まさおちゃんの開演アナウンスの声が可愛い!!!
作品が明るいってのもあったと思うんですが、この作ったところのないきゃわいさ(いや、作ってはいたと思うけど)は、ベテラン男役になった今では望めない……。
びっくりしたのがパリレビュー風のOP。
10分以上ありましたね。
もうこれ、ショーでええやんってくらいあった。
デュエダンもあるし、フィナーレなのでは?? って錯覚したほど。
ここ割愛して、その分ヒロインの見せ場を作ったり、主人公がヒロインに恋していく過程を見せれば良いのに……と思うほど、本編ではヒロインと主人公の絡みが少ないです。
けど「新公学年だけでショーをする」ってので得られるものって大きいと思うし、ここで場面の真ん中に立った経験は、それぞれの財産になってったんだろうな……と思わなくもない。ぐぬぅ。
まさおちゃんのオラオラしきれてないオラオラダンスが面白かったです。
マギーちゃんはこのときから顔もダンスもサマになってますね……そしてちゃっかりマギーちゃん二番手ポジションなのに驚いた。
デュエダンは、ワーイまさねねだ!! ってテンション上がった。
まさねね良いですよね、なんでこんなに魅力的なんだろう。
二人ともお人形ビジュアルだからかな。
あとあちょーさんのダルマめっちゃごつい
ここまでOP! やっと本編!
アール・ヌーヴォー前夜のパリの、エレガントな内装のセットが素敵。
お衣装も近代的だけど、カラフルでシルエットがきれい。
どこまで宝塚ナイズされているかわかりませんが、「鉄の時代」に移行していく頃の、美と実用性とが両立している意匠で目に麗しいです。
ペテン師のまさみりが、騙しとる目的でエッフェル塔建設の資金を調達するんだけど、周りがエスカレートしたり、ヒロインの花売り娘・ねねちゃんからなけなしの出資をしてもらったりして引くに引けなくなり、結果として本当にエッフェル塔を建設することになる……という、いい話ですw
しっかりしてるけど肝は小さく、ただしみりたんには強気なまさおちゃんと、まさおちゃんにピィピィすがってばっかりのみりたん、ってこれ完全にまさみりの当て書きじゃないですか……と、萌えを通りこして血の気が引いたわ。
たぶんだけど、本役のあさゆひはこんなんじゃなかったんだろうな……。
エッフェル塔を建てたエッフェルさん役はマギーちゃん。
本役は当時二番手のきりやんで、こんな頭爆発&メガネ&野暮ったいスーツにテンション高い芝居をさせられてた二番手……と、認識の照準を合わせるのに苦労したわ。
いや、きりやんの芝居もテンション高かったとは限らないんだが。
見た目はアレなんですが、二番手だけあって、美味しい場面が多くて嬉しかったです。
最後も、出資金の残り(小銭程度なんですけどね)を持って逃げたまさみりをかばったりとかして。
ねねちゃんはもうこの頃既に、佇まいが出来上がってますね!
男1~3全員に愛されるという、宝塚でも珍しいモテまくりヒロインなんですが、それも納得の可愛さ&可憐さ。
植爺作品にありがちな、無個性ヒロインなんだけどね……!
出番も主人公たちとの接点も少なくて、なぜ主人公と彼女が相思相愛の両片想いになっているのかがわからないんですが、まぁ明るくて健気で可愛いからだろうな! と、具体的なエピソードが無くても話を補完させる、説得力高いヒロイン性。
やっぱり夢咲ねねはすごいな!!!
あ、あとこの頃の月組新公映像あるあるなんだけど、妙に上手い&聞き覚えのある声の人出てきたなと思ったらすーさんでした。
この方も、こんな頃から充分上手いのに、さらにそれを研ぎ澄ませてきたんだよなぁ……。
次期組長内定おめでとうございます。
組の雰囲気は組長が創るというし、新生月組楽しみ。
月組『LUNA -月の伝言-』
あまりにも正塚作品が続いたので心を鬼にして違う風を入れるよ!
って思ったら違う風すぎた!!!
イケコの勧善懲悪第一主義というか、小さい男の子の頃に考えた「僕が考えた最強の~」感は、ワンパターンだけど商業的には受けるし、何よりわかりやすくて1幕もののミュージカルには向いているよな。
単純明快すぎて私にはちょっと物足りないんだけどね…………。
マミさんは浮世離れしたスター性を持つ役がとても合いますね。
ツクヨミ=歌の神なのには笑っちゃったけどwwww
あと、なんでツクヨミノミコト役はえりたんとかマミさんとかのドヤジェンヌに当てられるんだろう……ってのも思いました。偶然でしょうか。
檀れい様はつくづく美しい……。
マジでこんな美しい人が実在してるとか意味がわからないよ……。
しかも日本人で、今も同じ時代に生きてるとかさ…………。
お固い美女役、似合いますね。
自分が好きなものの話になると途端にテンションが上がって早口になるのが、オタクっぽさの再現性高くて好きです。
マミダンのお芝居って『ワルフザケ』しか観たことなかったんですが、この方たちもなかなか生々しい男女の匂いがするやりとりをなさいますね!
チューしながら背中なでるのすっごくえろかった!!!
抑制した演技のリカさん、素敵ですね!!
私、今まで観た中でこのリカさんが一番好きかもしれぬ。
好きな分、もうちょっとちゃんと悪としてカッコよく描きこんでほしかったというか……。
イケコの描く「悪」って紋切り型なんだよなぁ。だいたい経営者が多いよね←
あっけど、夏至のことを「月の復活祭」って言うのは面白いと思った。
冬至は太陽神の復活祭だもんね。
登場する企業名が「ヴィーナス・レコード」とか「ウラヌス・ネットワーク」って太陽系の惑星の名前だったり、「天文学的な売上」とか「満ち潮」とか、天体関係のワードを台詞や歌詞に忍び込ませているのも、鬱陶しいけどw好きです。
タニきりゆひトリオ売りの時代(タニさんがちょっと頭抜けてる)ですね。
きりやんリアル男子すぎてびっくりしました。あの短髪すごい……。
タニエルヴィスは面白すぎてずるいwwwwwwwwwwww
タニちゃん、モミアゲ似合うね(⌒▽⌒)
インパクト賞は嘉月絵理さん。
眉毛ないマッドサイエンティストのビジュアル、ヤバい。
台詞とかお芝居とか無くても、ビジュアルだけで圧勝だ。
ストーリーは食い足りないところもあるしファンタジックが過ぎるけど、明るさ面白さと、妙な中毒性があることはわかった。
この作品好きって言う人が多いの、納得したわ。
イケコ作品はやっぱり曲がキャッチーよね!
オ~LUNA~観ていて~よ♪
しかし、これとBMBが二本立てで公演してたって、すごい時代だな……!
作品のクオリティとか駄作とかガタガタ抜かさず、スターの魅力だけで観客動員できてた時代ってことなのかな……。
と言いつつ、同じようなノリを、NOBUNAGA/FLにも感じる……。やっぱりまさおちゃんは月組トップスターの系譜にいる人なんだな……。
花組『ブラック・ジャック 危険な賭け』ヤン様
OPが好きすぎて、OPだけならたぶん30回くらい観ています。
何度でもリピれるし、一緒に踊っちゃう。
しかし今回は、初めてOPに続く『かわらぬ思い』で泣きそうに……。
やっぱり歳のせいかしら。
何回も観たはずなのに、前回まで目が行かなかったところに目が行って面白いです。
記憶の中より、BJがうろたえたり感情的になるシーンが多くて、これクールに見えるヤン様が感情放出してるのが良いのだな、とか。
場面の切り替わりがダンスなのも、あまり意識してなかったけど面白い。
ダンスのために音楽も入るし。ラジオのジングルみたいになってる。
シャレオツだし尖った演出ですね。
んで、楽曲のバリエーションがすごく広くて、音楽が作品全体のメリハリを付けているような印象すらある。
この時期の正塚先生って当たり作品が多くて、正塚先生も攻めの姿勢で脂のってたんだろうけど、城先生もイケイケ(死語)の時期だったんだろうな、と思いました。
いつもヤン様のあまりのカッコよさに酔いつぶれるみたいに具合悪くなってたけど、ミキさんのハリのある声の存在感は、二番手時代のこの頃から納得のスター性だなぁとか、あきちゃんの看護師可愛いなぁとか。
これは毎回言ってる気がするけど、グン様もいて、娘役混み合いすぎ。
2人ともトップ娘役になれて良かったなぁ……。
みはる氏もすごく集中して、恵とアイリスを魂込めて演じ分けてるのが伝わってくる。
熱のあるお芝居よね。
あと、そろそろ認めなければいけない気がしてきたんだけど、海峡ひろき様好きだ……。
きりやんに少し似てる?
憂いを帯びた瞳と肉感的な唇がたまらんです。
ちょっとこれから、意識して観るようにしよう……。
久しぶりに観ると、台詞にも耳が行く。
ケインがアイリスにすがるところの
「たった一人の友だちを助けるため」
とか、やっぱり正塚先生はブロマンスの才能が溢れている……! ってなった。
ケインが手術を決意するときの
「見込みの無い賭けだ」
「勝つ希望を買うのさ!」
ってやりとり、サブタイトルにもなってる作品のメイン台詞と言っても過言ではないと思うんだけど、今まであんまり意識してなかったw
正塚先生の人間主義、ヒューマニズム(同じ意味ですね……)がこのやりとりに凝縮されてますね。
BJも銀の狼のシルバも、真剣に生きようとしてるヤツの命を助けたり守ったりしようとするんですよね……イズムだわぁ……。
「苦しくなったらこれを飲め」
「何だ?」
「『気休め』だよ」
って薬を渡すやりとりも好き。オシャレよね、本当。
手塚治虫の台詞のオシャレさを完璧に踏襲している。
同じくらいオシャレでユーモラスでヒューマニストだからなんだろうなぁ。
まっつBJでも言われていた「わかる人にしかわからないBJの魅力」を、周りが語る台詞も良い。
ラストで女王が全部言ってくれるのが良いですね。
「深く純粋な人間愛と誠実さ」。
ピノコが電話口で言う
「ちぇんちぇえはおひとよし」
も、ピノコはんわかってはる……って沁みるよね。
正塚先生も再現するために原作音読したりしてるのかな……///
雪組『Romance de Paris』大劇場
かねてから観たいと思ってた、大劇場版のロマパリ!
中日版は毎年中日公演期間に再放送するけど、大劇場&東宝版はなかなかしないんだよォ~~~
えりたんのディディエ&演出を変えたというじゅりさんを観たかったのだ。
えりたんのディディエ、ケイさんと全然違う!
ケイさんはザ・悪役、腹黒い悪徳経営者で、最後救われちゃうことに違和感があるくらいだったんだけどw、えりたんは悪に手を染めてでも会社を守ろうとする、前向きで現実的(現実にいそうという意味でも)なザ・経営者だった。
確かにあれなら、最後人生をやりなおすのが似合う。
お芝居はいささかザツな感じというか、雪組になじみきってない感じがあったけどw、こういう時代を経てきて私たちの知ってる「壮一帆」は磨き上げれていったんだなぁ……という過程を見られた気持ちで嬉しい。
コムさんとの並び、似合いますね。
顔の形やパーツの配置が似ているからかしら。
義兄弟(コムさんの姉(となみ氏)の夫)なんだけど、あの2人なら実の兄弟という設定もアリだなーと思った。
物語上じゃなくてね、あくまで見た目の話ですよ。
じゅりさんのラシッドも、中日版はもっと悪度合高かったような……?
ケイさんの「黒さ」に合わせての演出だったのかしら。
大劇場版だと、オドオドしていて憎めない感じ。
同じ役、同じ台詞でも、演じ方でこんなに違うんですね。
ってか大劇場と東宝と中日で、演出を思いっきり変える決断をさせたじゅりさんがすげぇや。
東宝はどんなんだろ、気になる~~~放送お願いします~~~~
あと私意識してなかったんだけど、中日だとミズさんが演ってた役、元々かしげ氏の役だったんだね!!
なんか妙にミスマッチがすぎるというか、ミズさんに合ってなさすぎて違和感があったし、印象にも全然残ってたんだけど、かしげ氏に合わせて書かれた役だったからだったんだね……そりゃそーだ……。
ミズさん良いことばっか言いそうだもんねw
かしげムジャヒド、かわいかったです。振り回されっぱなしで。
まーーしかし何度観ても、前半の政争パートと後半のデートパートの糖分濃度差が激しすぎるwwww
政争パートで、一応惹かれはじめてはいるのわかるんだけどね。
ちょっと、あまりにも萌が過ぎやしませんか。
「踊りませんか」のおどけたイケボとか、脳震盪になるかと思ったわ!
そしてこれも女の子の方から直接的なスキンシップに踏み出す作品であった……。
「もっと早くこうすれば良かった……」
とか天才か!!!(乙女の満点回答的な意味で)
けど、特にラブなシーンのない『銀の狼』の方が萌えわずらいが激しかったんですよね。
萌えやすかったというか。
このロマパリは就任後2作目の大劇場作品、銀の狼は就任3年目?の作品。
その間に、どんどん「コンビ」になっていったんだろうなと思います。
トップコンビって、就任期間中、どんどんコンビになっていくものなんですね。
と思って、なんだかじんわり。
あと気づいた点としては、主人公が過去を振り返って語るという体裁の物語になっているから、しょっちゅうモノローグが入るんですよね。
正塚作品でもあんまり無い技法……? だと思うんだけど、ちょっとうるさく感じた。
あれ無くても話は成り立つと思うんだけど、「失恋に終わったけど前向きな生き方をくれた彼女」みたいな感じで、未来に向かって歩き出す主人公、という図柄が大事なので、やたら「これは過ぎた過去の話」というのを強調したのかなとも思う。
個人メモ、演出助手:大野先生
月組『マジシャンの憂鬱』新人公演
すごいものを観た……!
出演者皆が集中していて、熱情がこもっていて、おまけにクオリティも高い!
私が新公を観るときの傾向として「演者の勢いに押されないので台詞や歌詞がきちんと聴ける」というものがあるんだけれど、この新公は勢いもありつつ、台詞や歌詞も頭に入ってきて、すごいなと思った。
特に真ん中3人&れみちゃんのハマり方がすごい。
あさかなきりあいの本公演もすごく好きだけど、本公演とは違うハマり方をしている。
新人公演オリジナルの演出が活きているというか。
同じ脚本だけど、関係性のバランスが演者に合わせられていて、全く別の作品みたいに仕上がっていて、本公演と同じくらい良い!
まさおちゃんがめっイケすぎてびびる。
イケメン以外の言葉が出てこない、語彙を奪うイケメン。
スーツが本当にお似合いで。
正塚芝居もバッチリ板についていて……素晴らしいよ……。
あさこさんの持ち味ってたぶん「孤独」で、銀橋で独りでポケットに手を突っ込んで歌うのとかがすごく似合うんだけど、まさおちゃんも(ぱっと見た目にはわからないけど)孤独な人だから(持ち味がじゃなくて本質の部分がです)、あさこさんに似合うものがものすごく似合う。
自分の本質と近い持ち味の人を何回も本役に持ててラッキーな人だな、とも思うし、同時に、こんなに若い頃から、その細い背中にいろんなものを独りで背負ってきたんだな……と思って、泣いてしまった。
役作りはまさおちゃんの持ち味(今度は持ち味の話です)に合わせてか、あさこさんより甘めだったよね。
地下墓地でねねちゃんの手を引くところもだし、最後の「好きですよ、貴女」も、あさこさんはちょっとつっけんどんというか何の気無い感じで、それもそれでもちろん良かったんだけど、まさおちゃんは一気に甘やか糖分濃厚な表情&言い方で、
「どっひゃーーーーーーー!!!!」
って溶けるかと思った。
私、正塚先生の作品観るときはだいたい「萌える脚本を書いた正塚先生」に萌えちゃうんだけど、今回はちゃんと演者にときめいた! まさおちゃんにときめいたよ!!
ねねちゃんは、役のせいもあってか、かなり硬い印象だったけど、ワンピースの着こなしっぷりや佇まいの美しさやら、やはり「約束された」人だったんだなと唸らされるほど。
地下墓地で怯えるところで一気に精細が出て、やっぱりこういう、感情の振れ幅が極端なお芝居が似合う人、エネルギーを放出するタイプの演技が似合う人だよねと思った。
正塚作品に合ってるんだな、ねねちゃんも。
みりたんの皇太子はものすごく面白かったwww
正塚先生がきりやんによく演らせた「路線なのにヘンで面白い人」の役、みりたんものすごく似合いますね!!!
いやー、もっとこういうみりたん観たかった……トップになってからだとなかなか、でしょ。
みりたんがまさおちゃんにすがりついて、まさおちゃんがめっちゃ迷惑そうにしてるのが、いかにも「まさみり」ですごく良かった…………。
あさきりこんなんじゃなかったのにwwwww なんでまさみりこんなんなっちゃったのwwwww んもうwwwwww
本役あいあいの王妃様は、もしやとは思ってたけどやっぱりれみちゃんだった。
記憶を失ってるときの不安定さを出す演技と、記憶を取り戻してからの抑制した演技とをしなきゃいけなくて、難役だと思うんだけど、全然違和感なく演じていて、さすがだなぁと思った。
はー、しかしこの娘1&娘2の関係が星組に行ってからも続いたんだな……。
れみちゃんをめぐる人事のことは、考えるたびに重い気持ちになってしまうよ……こういう素晴らしいものを観ると余計に……(´・ω・`)
月組『FOREVER LOVE!!』
まさおちゃんへのLOVE!!に定評のある大介先生の、まさおちゃんへの愛と夢とあこがれが溢れかえったショーw
コンビ添い遂げ退団でなく、トップスター単独退団だとこうなるんですね……と思ったのですが、まゆたんの∞もかなめさんのフェニタカもこれほどではなかったぞ……?(⌒▽⌒)
余談ですが、観劇前に、大介先生が劇団に入っていくところを観ました。
観劇してるのかな。やっぱり全通するのかな……?
OPは愛を表すどピンクの洪水!
娘役の着るどピンク&ハート付きのお衣装に定評のある大介先生……。
エトタカ・コンタカに続き、再び名お衣装を生み出しましたね!
ちゃぴがセンターの高いところに上って、まるでちゃぴが幹事・主催の、まさおちゃんの送別会のよう。
主題歌は「ラブラブラブ! フォーエバーラーブ♡」しか歌ってなくて憶えやすい。
ワーッと組子たちがハケて、まさおちゃんが独り現れます。
主題歌に内容が無い代わりにw、まさおちゃんのソロ曲に「想い」が暑苦しく詰まっています。
まさおちゃんは進んで自らを語る人じゃないから、大介先生が書いた歌詞なんだなってのはわかってるんですが、あまりにもまさおちゃんを的確に表しているし、まさおちゃんもこの歌詞にOK出したってことは、本人の自己認識としてもあながちハズレじゃないんだろうなとw
「いろんな役が降りてきた」みたいな詞では、友人が唱えていた「まさおちゃんカタシロ説」とも重なって、おぉぉ~と思った。
しんみりさせた後に、奇抜な色遣いのチンピラっぽいスーツでEXILE歌って踊る場面は、まさおちゃんのケレン味本領発揮!!
なんだけど、ここのメンバー5人だけで、しかもとしゆりあーさありって、人選にも意味がありそげで、それぞれがまさおちゃんと重ねてきた時間のこととか考えると、グッと来る。
まさちゃぴが組む場面はほとんど無くて、そのことが
「ちゃぴはまさおがいなくても立って歩いていけるスターです!!」
ってのを表しているようだった。
フィナーレのデュエダンすら無くて、徹底してたな……。
アフリカのシーンは「また?w」と思わなくもなかったけど、やっぱりカッコいい……。
ちゃぴ様こそが次期トップスターのような扱いだったw
ちゃぴとのシーンはありませんが、女装したカチャみやコマとまさおちゃんが組むシーンはあります。
みんなきれいだけど、それぞれ個性があって面白い……面白いな……ww
しかし一番上級生なのに一番可愛くて生々しい女っぽさがあるコマちゃん、何なんですか!! 好きです!!!
サヨナラ作品ならではの餞別シーンは、白ターバンでの総踊り。
まさおちゃんの同期・87期生だけのシーンから始まります。泣くやんけ!!!
組子が総踊りする中、まさおちゃんだけ輪から抜けて、独り大階段上っていくの&フィナーレで黒燕尾着て降りてくるの泣いちゃう……。
やっぱり独りで去っていっちゃう人なんだね……。
NOBUNAGAでもそうだったけど、まさおちゃんは周りの人にたくさん愛されていて、たくさんの人に囲まれていて、だけど独りなんだよなぁ……。
けど、OPでは組子が全員で歌った主題歌を、フィナーレではまさおちゃんがソロで歌うのだ。
「いつの頃からか、まさおちゃんは皆に好かれることをやめて、自分を愛してくれる人たちだけ楽しませるようになった」
と言っている方がいて、それがすごく的を射ていると思うんだけど、それはつまり、まさおちゃんのファンへの愛であり、感謝なんだろうなぁ。
大階段に描かれたハートの真ん中に、大羽根に付いたハートで描かれたハートで囲まれたまさおちゃんが立って、ハートのシャンシャンを振るの、すっごいな~! と思う。
愛が詰め込まれまくってるし、可愛い。そうだよ、それが龍真咲なんだよ!
正直これも、ショーとしてのクオリティは高くないのかもしれない。
けど、トップスター・龍真咲を描いたショーとして、これ以上のものは無くて、なんかもう良し悪しの基準とかブチ抜いたところに存在している。とてもタカラヅカ的。