ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

2011年花組『カナリア』観たよ

『カナリア』 | 花組 | 日本青年館大ホール | 宝塚歌劇 | 公式HP

正塚晴彦先生の作品がね……。
好きなんですよ……。(絞りだすように)
(他のすべての演出家同様)賛否両論ある方ですが、好きなんですよ……!
元々私はハードボイルドぽい「男の孤独」やら「男の無念」やらを描いた作品が好きで……もうそれだけで正塚作品でしょ(笑)
それから物心ついていちばん古い記憶にある映画が『ウェスト・サイド・ストーリー』で、ああいう「やたら歌ってやたら踊る」作品が馴染んでるんですよね、体に。
しかもあのハイテンションさや、ギャグの挟み方が、私の血肉を作った手塚治虫漫画を彷彿とさせるんです。
(だから宝塚版ブラック・ジャックの脚本演出が正塚先生なのすごく納得だし、すごく嬉しいんですが、その話はまた別の機会に!)

そこで『カナリア』ですよ。

んもう、えりたん*1がカッコいい! 悪(魔)の魅力。
なのに、何ひとつ思い通りに行かない!!!(笑)
思い通りに行かなくて「ズコー」ってなってても、その表情すらカッコいい。
あのカッと見開くでっかいお目々に、悪魔メイクも映えててね……。
本当に何でもできる人なので、演技も歌も安心して観ていられますね……。

最後の方、みりおん*2演じるアジャーニに、ちょっと強引にキスするところがあるんですが、そこがすごくときめきました!!
強引というか、ちょっと唐突なんですよ。アジャーニはキスされるなんて思ってないし、観客にもあんまりそういう予感はなくて(たぶん)。
その「間」を作る演技力すごいなって思いますし、ちょっと強めに唇押し付けてる感じがセクシーで……。
うおぉこれからえりあゆ*3でこんなんがいっぱい見られるのか!!!! と思うと高まらざるをえなかったです。

そうですよみりおんですよ! このみりおん大変好きだなーと思いました。
髪の毛ボサボサ、言葉遣い最悪のホームレス少女を演じてるんですが、顔立ちが端正でこれまた何でもできる彼女には、こういう「濃い」、ちょっと正統派をはずれたヒロイン役が似合うなーと思いました。
味のある脇役をもっとたくさん観たかったな……なんて思ってしまいますが、せんないこと。
宙組ヒロインとして、作品・役柄に恵まれることを祈るばかりです。

脇役も濃くてねー。そうです私、正塚作品の脇役の強烈さも好きなんです。好きなところばっかじゃねぇかこんちくしょう
みんな強烈なんですが、トップ2はまりんさん*4演じる悪魔学校の先生と、みんな大好き桜一花演じるティアロッサミでしょうか。

まりんさんは男役スターなんですが、この作品ではおばさん悪魔を演じています。強烈……です(笑)

みんな大好き桜一花は相変わらずの怪優ぶりで、ホームレスのおばさんの迫力もすごかったですし、終盤での真っ白な輪っかのドレスも可愛かったですし……。
みんな大好き桜一花のすごいなーと思うところは、作品を重ねるごとに「怪優」っぷりが増してると思えるところです。
宝塚のヘレナ・ボナム・カーターだと思ってるよ! エラの張り方もちょっと似てるよね!!!(笑)
あとちょこっと「金塊」もやってるんですよね。小さいからすぐわかる。
未見の方は「金塊」って何……!? って感じだと思うんですが、ジェンヌさんが全身タイツ着て、金塊のハリボテ頭にかぶって「金塊ダンス」を踊るテンション高いシーンがあるんです。そんな正塚作品が大好きです。



すごく余談ですが、私が『カナリア』観たいなと思っていたのは『歌劇』2011年12月号がきっかけでした。
「えと文*5」の花組担当が一花、雪組担当がまっつ*6という、贅沢にも程がある号なのですが、なぜかまっつ、誌面に一花へのメッセージを書いてるんですよね。
「今月の原稿は書けましたか? 私は明日、貴女のティアロッサミを観に行きます。」
みたいなことが書いてあって、『カナリア』じゃないんだ、「貴女のティアロッサミ」なんだ……。みたいなどうでもいいツッコみをね。しちゃいますよね。
夫婦の会話は家でしろっていうね。あぁ、もう、まっつ一花……。

B0063HDLXM歌劇 2011年 12月号 [雑誌]
阪急コミュニケーションズ 2011-12-05

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歌劇といえば、2011年10月号の正塚先生&えりたんの『カナリア』対談もおすすめです。
そこまでのページが『クラシコ・イタリアーノ』『NICE GUY!!』の座談会で、めっちゃ熱がこもってるのに、正塚先生&えりたんのページになった途端、空気が緩まります(笑)
ゆるゆると関西弁でだべっています。温度差がやばいです。おすすめ。

B005LHNIZ6歌劇 2011年 10月号 [雑誌]
阪急コミュニケーションズ 2011-10-05

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*1:壮一帆

*2:実咲凛音

*3:雪組新トップコンビ、壮一帆&愛加あゆ

*4:悠真倫

*5:『歌劇』の連載企画。各組のジェンヌが3ヶ月交代で、書き下ろしの文章や直筆のイラストを寄せるコーナー。間違いなく『歌劇』の一番人気コーナー。

*6:未涼亜希