ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

2013年雪組『ブラック・ジャック 〜許されざる者への挽歌〜』観たよ①

やっと落ち着いた、という感じで、初日・my楽はおろか、千秋楽からもだいぶ経ってしまったけれど、書きます。

もうこれ発表あったときは歓喜、歓喜で小躍りしたよね。
宝塚好きになってまだ数ヶ月なのに、一番好きになったジェンヌさんが、大好きな漫画が原作で、一番好きだと思えた作品を手がけた演出家の先生の作品で、主演公演。
盛りすぎやろ!!!

んで、ヅカ歴も浅いくせに、チケット取りまくって、劇場近くに連泊する気まんまんでね! 俗に言う「遠征」というやつね!
結局10回観ましたが、やっぱり舞台って「なまもの」なので、毎回違うし、回を追うごとに良くなっていくんですよね……。
自分が着目するポイントも変わるし。


初日の思い出。

会場に入って、舞台のセットを見た瞬間、
「あ、私これ、好きだ」
と、安堵のような、懐かしさのような気持ちを覚えました。
薄暗闇に、舞台を囲むようにして、窓枠の形になった青いネオンがいくつか浮かびあがっている。
文字通り「期待に胸が高鳴る」のを感じつつ、着席。

開演時間になって、黒い影のような人物が下手から出てきて(「BJの影」役の煌羽レオくんだった)、緊迫感のあるBGMが流れだす。
「BJの影」は6人に増え、直線的な動きのダンスをする。
後ろに立つ白いついたてのようなスクリーンの向こうで、手術をするBJと、看護師2人の影が動いている。

「ただいまより、」
開演アナウンス来るかっ!? と思ったら、
「頭部盲貫銃創による弾丸摘出手術を行う」
ものすごく低い、男のような声で手術開始の合図。
"雪組の未涼亜希です"で感涙するつもりでいたので、軽く肩透かし。ドS。

その後に続いて「皆さま、本日はようこそ〜」というおなじみの開演アナウンス。
その間にもスクリーンの向こうで続く、手術のジェスチャー。泣く間もねぇ(笑)

アナウンスが終わると、スクリーンに透ける影がこちらに近づいてくる。
スクリーンが真ん中で裂け、まっつBJ登場。当たるスポット、拍手。
私たちが原作からイメージしているBJより、だいぶ細身だけど、醸す男くささ、やさぐれた雰囲気は、間違いなく「BJ」。

舞台上には、「BJの影」以外にも、コロスや登場人物たちが勢揃い。
ブラック・ジャック先生! どうなさったんですか。まだオペの最中なのに」
「その前に、代金の話がまだだったことを思い出しましてねぇ」
いきなりの原作っぽい発言! そしてコロスたちが声を揃えて言う
「「「Oh My God!!」」」
テンション高い! 期待通りの正塚先生演出!!
これで私、笑ってしまいまして、以後ずっと終演まで満面の笑みでした。照明が薄暗い公演で良かった。

200万ドルという高額の請求をするBJ、それを呑む大臣。
不敵な笑みを浮かべ、BJは手術室に戻ります。
「せいぜい祈っててください……。イチかバチかの手術だっ!」
あぁ、そう、これだよ、BJって……。
依頼人が人生を賭けざるをえない額を請求する代わりに、自分も人生賭けて手術するんだよ……。

「〜考えてる場合かっ!」「〜ですかねェ……。」等の、BJっぽい言い回しの再現度が、すごく高い。
いや我々、生きて動いてるBJ見たことないんで再現度も何もないんですが、まっつさんの言い方が、原作のイメージそのまま。

BJが去った後、BJについての賛否、両方が登場人物の口に上り、コロスたちがステップを揃えながら「ブラック・ジャックブラック・ジャック」と声を合わせ、オープニングの合唱に入っていきます。
このオープニング曲の歌詞がまた上手くて、BJに対する酷評と絶賛の両方が織り込まれています。
曲もダンスも、少しアングラ・サブカル演劇のテイストがあって、宝塚歌劇には珍しい雰囲気ですが、とても素敵です。

余談ですが、オープニングのコロスの中で、特に大澄れい氏が好きでした。
動きや表情が、いい意味で大仰で演劇的で、見ごたえがあるんですよね(笑)。
大澄れい氏は、劇中でも「オムカエデゴンス」でおなじみ、「スパイダー」の役で大活躍でした。

オープニング曲が終わると、耳慣れた前奏。
安寿ミラ氏主演だった前作『ブラック・ジャック 危険な賭け』の主題歌だった、「かわらぬ思い」です。
ライトを浴び、踊る「BJの影」たちを引き連れて歌うまっつさん。キラキラしてました。
男くささを意識してか、普段より低めのキーで歌われていました。
(公演期間中、のどを傷められてからは、出しやすい音域のキーで歌われていましたが……。)

「かわらぬ思い」を歌い終えると、そのままお芝居へ。
手術を終え、帰国の途に着こうとするBJ。
大澄れい演じる「オムカエデゴンス」も現れます。

しかしBJをはばむ、ライトグレーのスーツの男。
大統領警護官・トラヴィス(帆風成海)です。
(そうそう、これはヤン様*1BJのときもそうだったのですが、登場人物の衣装は全員、モノトーン・グレーで統一されています。)

大統領はテロ集団に襲われた可能性が高い、大統領の命を救ったBJも襲撃の対象になる可能性がある、という理由で、BJの警護を申し出るトラヴィス。
「「「来るなー!!!」」」と声を揃えてBJの「心の声」を歌う、「BJの影」たち。
引かないトラヴィス。焦れたように、さっきより大きな声の「オムカエデゴンス」。

最後は、断るのも面倒になったという風に、
「勝手にしろッ」
とハケていくBJ。それを追うトラヴィス。
「BJの影」たちだけ舞台上に残り、
「不っ可能な手っ術♪ 成っし遂げる技っ術♪ さっれど謎め・い・た♪ 不っ可解なお・と・こ〜♪」
という、コミカルな曲調の挿入歌に合わせて、おもちゃのような動きのダンスをし、去っていきます。

帰国したBJ。舞台装置は、BJの家に変わります。
(この舞台装置がまた上手くて、最低限の家具を入れ替えるだけで、それぞれの場面を表現するんですよね。)
BJの家は、鉄格子のようなセットで壁が表現されていて、工業的なのですが、どことなくゴシックさ・グロテスクさを感じさせます。
オープニング曲がアレンジされた、静謐な雰囲気のBGM。
下手奥には医療機器がつながったベッドと、横たわる包帯ぐるぐる巻きの人物。

早花まこ演じる看護師・五条ミナが、BJに「患者」の容態を申し送りし、その場を去ります。
去ろうとしないトラヴィスに、ここに泊まりこむ気ではないかと尋ねるBJ。
そのつもりだと答えるトラヴィス、拒否するBJ。

ここでトラヴィスが「家を出ていく条件」として、BJにGPS機能付き発信機を渡します。
この発信機をめぐって、まっつ&ホタテちゃん*2のコメディエンヌぷりが発揮された、爆笑もののやりとりがなされます。
これでトラヴィスに心を許したBJは、なじみの旅館を世話してやります。
大喜びしかけて、はっと我に返り、表情を硬くするトラヴィス。「うん」と返事するBJ。
(この「うん」が、原作BJにはない、まっつBJ独自の口癖というか癖なんですけども、素っ気ないようで愛に溢れていて、しかも言い方が可愛いんですよね! ずるい……。)

トラヴィスが去った後、包帯ぐるぐる巻きの人物のベッドに近づくBJ。
照明が青くなり、不協和音の効果音が鳴らされます。
頭痛を訴え、床に這いつくばるBJ。
そう、ピノコです。畸形嚢腫から取り出される前、手術をしようとした医師たちに「頭が割れるような頭痛」をさせた、ピノコの超能力です。

家を空けていたことを謝るBJ。
「お前を見捨てた訳じゃないんだ!!」
と訴え、やっとピノコの「攻撃」は治まり、BJはピノコへの思いを歌い始めます。

舞台上には妃華ゆきの演じる「ピノコの影*3」と、「BJの影」たちが現れ、ダンスをします。
ひたすら生きようとしていることを誰にも気づかれず、ピノコが苦しんだであろうことを歌い上げ、
「もうすぐだ 解き放つ その日まで」
と約束するBJ。ここで私の涙腺、第一次決壊。
この後も折につけ節につけ、ピノコへの思いがBJの口から語られるたびに、百発百中で泣きました(く、悔しい……)。



すみません2幕ぜんぶこの細かさで書くのとてもじゃないけど一度じゃ無理なんで、また追々書きたいと思います。
とりあえず今日はここまで!!! ごめんなさい!!!!!!

*1:安寿ミラ

*2:帆風成海

*3:桃花ひな演じる通常のピノコは、黒髪のかつらなのですが、「影」は白髪のかつらです