星組『王家に捧ぐ歌』
宙組の再演もすんばらしかったけど、やはり初演には初演の力と言うか、
「この人たちのために書かれた物語だ……!」
みたいなバチーンとハマっている感覚がひとしおで。
パワフル、エネルギッシュで堂々とした表情と体躯のわたるさんは、まさに太陽神の息子、太陽の王子然としている。
きんきらのお衣装が似合う似合う……。
『ファンキー・サンシャイン』の「太陽の神様勢揃いですね!」に出てきてもたぶん違和感ない。
アムネリスの檀さまは、まじ檀さま。
そこに立ち、座り、歩き、もう存在するだけで美!
周囲を支配する様が、日ごろ美しさで舞台を治め、そして客席を圧倒していたであろう檀さまに、バシッと似合っている。
美とは力、美とは強さなのだということを、宝塚を観ているとしみじみ感じるけれど、『王家~』の檀さまには特に感じるなぁ。
あと、檀さまアムネリスは強いんだよね、実際。
「ゆ~るせない、ゆるせない♪」のところとかめっこわだし、言い返せない圧力を感じる。
美しさが人間離れしているから、中身も人間離れしていて、神様とか自然とか建造物みたいな、確固とした印象を受けるんだな。
うららアムネリスはもちょっと人間らしくて、不測の事態に対して揺らいでいる印象、戸惑っている印象を感じた。
そしてそして、とうこさんアイーダ! もう! 最高!
とうこさんの出演作を全部観た訳ではないけれど、今のところ、アイーダのとうこさんが一番好きかもな……。
とりあえず歌が上手い。
とうこさんって、たぶん「美声で魅せる」タイプではないと思うんだけど、その分歌の中身が伝わるんだよな。
美声の人の歌って聴いてて美声に酔っちゃって何歌ってるか憶えてないんだけどw、とうこさんのお歌は、内容が心に届く。
ミュージカル向きの人だなぁ、と思う。
そしてとうこさんのアイーダは、這いつくばって必死に生きている感じがとても似合うのだよなぁ。苦労人だからかな……。
髪とメイクと衣装の力もあると思うけど……。
まとぶん、ちえウメといった、後のトップスターズが活躍しているのも面白い。
「あの方たちにも4番手・5番手の時代があったのか……」
と思うと感慨深い。