月組『二人の貴公子』
そうなのだよな、今や花組・月組のトップとしてそれぞれ立っているけれど、まさに貴公子2人として月組に揃っていたのだよな。
ほんの数年前のことなのに、まさみりが同じ組で同じ舞台に立ってたとか、贅沢すぎて現実だったのかどうか疑わしくなるよね。
この作品は
「まさみりは現実だった!!!」
って驚くための公演だと思う。
小柳先生の出世作でもあるし、まさみり伝説の中で大きな比重を占める作品でもあると思う。
なんつったって映像を再生する画面がキラキラしている。
舞台が古代ギリシャなものだから、お衣装が白くて、アクセサリーが金ピカ。
しかもそれを着ているのがかのまさみりである。
アクセサリーよりもお衣装よりも輝いている。
1人でも充分まばゆいのに、2人並んでいるので目が潰れる。
陽のまさきさんと翳を帯びたみりたんの対比も素晴らしい。
まさきさんの執着浅くて軽そうな雰囲気と、みりたんの暗く湿った情念を感じさせる雰囲気のバランスも良かった。
すごいなぁ、まさみり。
そんな2人が、1人の女性をめぐって、かなりえげつない争い方をするのがストーリーの大部分になるのだけど、ラスト、みりたんがまさおの腕の中で息を引き取るシーンの絵面が耽美すぎてまぶしすぎてインパクト強すぎて、それまでの諸々のディテールが全て吹っ飛ぶ衝撃がある。
おまけに2人とも歌とお芝居が上手い。
この作品はストーリーも、目新しさは無いけれど普通に面白いので(と思ってたらシェークスピア原作だったんですね……)、あらゆる面でストレスフリーで観ていられる。
役替わりとかいろいろあって、本人たちは複雑な心境もあったかもしれないけれど、やはりこの時期に2人をセット売りにしたのは月Pの作戦勝ちだったと思うし、小柳先生は最高の「素材」を得て、実にラッキーだったと思う。