ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

月組『THE KINGDOM』

DCの女神は正塚先生ファンに違いないし、恐らく相思相愛なのだろう、と思う。

地下にある、墓穴のような子宮のような小劇場。
しっとりと静かで清浄な空気に満ちて、座席に座ると還ってきた気持ちになる場所。
私は本気でパワースポットだと思っている。

正塚晴彦の作品を上演するのに、これほど相性の良い劇場はなかなか無いと思う。
照明は最低限に絞られ、演者同士が生のエネルギーをぶつけあってコミュニケーションすることを求められる演出。
客席と舞台の近しさ。
DCという場所の持つエネルギーと、演者のエネルギーと、観客のエネルギーとが交感する。

『THE KINGDOM』は、正塚DC作品の中でも、特に交感エネルギーの量が多い舞台だったのでは、と思う。
男役10年目を過ぎ、技術は充分身についているが、まだまだベテランとして落ち着くことはない89期の2人がW主演。
パワフルな上級生娘役と、フレッシュな下級生娘役のWヒロイン。
他の正塚先生作品と比べて、真ん中4人が若くて元気で熱い印象がある。

ストーリーは複雑だが、いつも通りといえばいつも通り(笑)。
サスペンスアクションというジャンルになるのかな?
推理あり、銃撃シーンありで、洋画のようなスリルもある。
謎が三重くらいに重なり、
「えっ、どういうこと!?」
と真剣に謎解きをするうちに、物語に呑み込まれていく。

音楽もとても良かった!
ジャズ調の曲が多かったのが嬉しい。
報連相ソングは次世代ヅカファンに語り継ぐべき迷曲なので皆さん歌い継いでください。