ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

花組『スターダム』

出演者のやる気や若さがスパークリングしてた!
往年の名曲メドレー状態で音楽もいいし、演出もいつもの"劇団マサツカ"で外部っぽくて面白いし、脚本もシンプル・オーソドックスな「いい話」で素敵なんだけど、なんたって出演者がいい!

ほとんどが下級生で、ソロ歌唱がある子も多いし、台詞は全員にあったと聞く。
舞台の端から端までみずみずしくキラキラしてて、みんな楽しそうで、それがすごく
「いい舞台観たなー!」
って感じる清涼剤みたいになってる。

僕たちはスターを目指すんだ、みたいな曲をオーディション出演者全員で歌う場面があるんだけど、日ごろからひたむきにスターを目指して励んでるタカラジェンヌとしての姿とダブって、泣いてしまった。
うるっと来たとかじゃなくて、涙流してガチで泣いた。

実は、「低視聴率に悩むマンネリ化したオーディション番組」というあらすじを見て、宝塚の風刺かな……? と穿ってしまっていた。
ぜんぜん違った。
正塚先生から出演者たちへの、ひょっとしたら全タカラジェンヌへの、もっと言ったら夢や目標に向かって頑張ってる人全員への応援歌だった。
「最後は意志の力だ」とか「いざレッスン!」とか「自分を信じて、仲間を信じて」とか、ダイレクトに励ましに満ちた台詞・歌詞が多い。
ストーリー全体も、希望を失わず、前進することを励ましている。

正塚作品といえば、いぶし銀の実力派上級生が主役の作品がぱっと思いつくけれども。
下級生メインの作品ならではの、出演者のフレッシュさを活かす、明るくて爽やかな作品だった。

やっぱり下級生が多いから、こなれてない子もいるんだけれど、全て通過点であり、後のスターたちの若かりし日の姿である、って頭の中でナレーションが付くんだよね。
むしろ、彼女たちの「今」の輝きを生で観られて幸運だ、と思った。
バウホールはこうやって、歴代のスターたちの成長を見守ってきたんだな……と肌で感じた。
なんだかバウホールそのものにも愛着が湧いてきたよ(笑)。

ヒロインはあれんくんだと思います。
意外とちなまいではなかった。
ちなあれんだった。