ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

星組『メイちゃんの執事』

何回見ても面白い演出だなぁ、と感心する。
外部っぽい、小劇場向き=宝塚向きでない、と言えばその通りだけど。
けど、この演出を宝塚歌劇団の公演としてやったことにも意味があると、私は思うのだ。

少しわざとらしい、芝居がかった台詞回しも、エキセントリックな少女漫画の世界を再現していればこそ。
(あと、当時の演者たちのレベルに合わせたというのもあると思う。)

初主演がこの作品で(だったよね?)、紅さんファンは幸運だと思う。
そしてはるこという、稀有なまでに宝塚的・少女漫画的なヒロインも見いだされた。
明確に組んだのはこの一公演くらいだと記憶しているのだけど、今でも「紅はる」のファンが多いことが、はるこの素晴らしさを証明していると思う。

下級生にまでキャラの立った配役が当たったのも、この作品が支持される理由ではないだろうか。
現トップ娘役・風ちゃんが、当時の学年から考えるとかなりの抜擢をされていて驚く。
しかもその抜擢にうなずかされるのが素晴らしい。
しゅう風のオタクコンビ、素晴らしいクオリティだよね……。

真風・キキちゃん・琴ちゃんら、今や各組で番手が付いたり本公演で大きな役を担っているスターたちが取り立てられはじめたのもこの頃なのだなぁ、と感慨深い。

その中で舞台を締めている白華れみ氏の際立った存在感は、流石ヒロイン経験の多い上級生娘役。
なぜてっぺんに立てなんだ……。
娘役人事は本当に無情……。

あと音楽すごいですね。
美穂様の歌声も含めて。
人声は最も美しい音色を奏でる楽器だというのを、美穂様の歌を聴くと思い出させられるよ。