ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

『宝塚巴里祭2008』悠未ひろ

悠未ひろというスターを知ったかなり最初の頃に見たのがこれだった。

なんとまぁ濃い、濃い!
「男臭い」ともまた違う、強い香水と化粧の香りがむんむん漂ってきそうな、「男役」のクサさ。

濃い存在感は大劇場でも力と輝きを放っていたけれど、私はなんとなく、ディナーショー形式の公演で真ん中に立つ彼女の方に魅力を感じる。
空間が狭く、観客との距離が近くて濃密な分、その「濃さ」を余すところ無く行き渡らせている感じがするからじゃないかな、と思う。
こういう気障で濃厚なアプローチは、ディナーショーくらいの距離がふさわしいのではないかなと思うのだ。

男役の「クサさ」は、本人の「女」たる部分、言ってしまえば「女の子」「少女」の部分のロマンチストさに比例する、と思っている。
少女としてロマンチストなほど、男役になったときにより濃厚な、昭和のスターのような存在感を放つのではないか、と。

そう思うようになったきっかけも、彼女のこの公演だった。
曲の合間のMCで、夢を語る。
さっきまでオラオラ低音を響かせていた同じマイクを両手持ちし、心なしか動きも内向きになっている。
何より話し方が可愛い。
「私はぁ、劇団一背が大きいんですけども、いつか私より大きな下級生が入ってきたら、くるくるくるーっとリフトしてもらうのが、夢です♡ ……いつに、なるやら(笑)」
かっわいーーー!!!!

男役が「あだ名の存在」になったときとのギャップ萌を教えてくれたのも彼女だった。
宝塚を好きになったときに彼女が劇団にいて、彼女の舞台をいくつも生で観られたことが、私にとって「宝塚」「男役」を考える大きな益になっている。