ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

月組『ブエノスアイレスの風』

私には「カッコよすぎるものを見ると体調が悪化する」という持病があって、まっつBJでは再現率100%、ヤン様でも起こりがちなんだけど、それ以外で体調が悪化したのがこれです。

  リカさんカッコよすぎる!!!!!

私が宝塚を好きになったときにはリカさんはとっくにOGになられていて、餃子の王将に行ったこともないお嬢様キャラとしてヒルナンデスに出ちゃうお姿しか拝見したことがなかったので、油断していた。
ものすごーーーーく男くさくて翳があって、尖っていて孤独で、さみしげな笑顔にグラッと来る。
そうだった、この方も花組出身男役だった。

ちえねね版も見てはいて、そのときはあまりピンと来なかったんだけど、リカさん版はグワーーーッて来た。
ちえねねは就任前で、あまりこなれてなかったからかもしれない。
そして初演のレベルが高すぎる。

シビさんの、哀愁と情念漂うブルースがたまらない。
舞台の要所要所で登場し、場をシメていく。
ああいう歌い方できるジェンヌさんっていないよね……。
ヒメ姐さんは割と情念型のシンガーだけど、ブルースではないし。
再演のコロ氏はプレッシャーだったろうなぁ……。
当時はそれほど上級生ではなかったはずだし……。

リカさんの背中に差す翳は濃くて、翳じゃないところまで薄暗い。
正塚作品の中でも特に照明が暗くて、重苦しく湿って息の詰まるような、主人公の生き様を感じた。
正塚先生初のDC作品だったらしい。
地下に「降りていく」ところから、薄暗い雰囲気、ブエノスアイレスを舞台に決めたのだそう。
劇場がふさわしい作品を、作品がふさわしい主演を選んだような、運命めいた一体感を感じる。