ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

宙組『メランコリック・ジゴロ』

観てきました全国ツアー! 名古屋全日程完売おめでとうございます! チケ取れて良かったぜ!!!

大好きな大好きなメラコリ。
まさか生で観られると思っていなかった。
演目発表が出てすぐにチケ手配のために手を回しました。
オープニングの『幸せの夢』(失〜う、ものな〜ど、何に〜も、無いっか〜ら の曲です)を聞いて、メラコリを生で観ている嬉しさのあまりガチ泣きした重いわたくし……。

ダニエル・スタンは陰のヤン様・陽のミキさんに合わせて書かれた役なので、初演はアンニュイなダニエルと大阪人みたいなスタン、という役作りだった。
まとえりは、本人たちの持ち味こそ逆だけど、2人とも陰陽どっちも演じられるスターだったからか、初演の陰陽役割分担を踏襲していた。
まぁまかの持ち味は逆で、陽のまぁ様・陰のまかぜなので、演目発表されてもなかなか想像がつかなかった。
フェリシアに関しても、みりおんのイメージと歴代のフェリシアのイメージはあまり重ならなくて、これまたどんなんなるか思い浮かばなかった。
ので、事前に想像するのはやめて、自分なりにニュートラルな状態で観劇当日を迎えた。

もう、びっくり。
まぁみりまか、全員自分の持ち味を活かして、自分たちなりのダニエルフェリシアスタンを創りあげていた。

まぁ様のダニエルは、幸福な子ども時代を感じさせる、素の明るさ・真っ当さを感じさせた。
そして真っ当だからこそ、自分の今の生活、行為が曲がっていることに苦しんでる、そんなダニエルだった。

まかぜのスタンは、恐らく歴代のスタンの中でいちばんアンニュイw
チャキチャキした大阪商人ではなく、悠々と世間を泳ぎながら、グレーゾーンの行為で小金を稼ぐ、セクシーなワル。
かなり正塚先生が好きなタイプの男役さんに成長してると思う。
まかぜファンの方には歓迎されない願望かもしれないが、まかぜ真ん中で正塚先生に一作書いてほしい。
正塚作品によくあるベタなハードボイルドを。
新作が無理なら『マリポーサの花』まかぜで再演してください。
いや、顔がミズパイセンに似てるってだけではなく、佇まいとかがね!
すごく「男」になってたんだよ!!!

みりおんのフェリシアは知的で、ただし臆病で、つい臆してしまうゆえに行動や言動がワンテンポ遅れてしまうフェリシアだった。
頭が悪い訳ではなく、生まれつき遅い訳でもない、ただ臆しているだけ。
なので、その原因をダニエルが取り払いさえすれば、生来の明るい子になる。
そういうダニエルとの関わりを通して変わっていくのがわかりやすいフェリシアだった。

再演と聞いて、一番気になっていたのが、ティーナを誰がやるのかということ。
メラコリであの役が一番難しいと個人的には思っている。
テンション高くやかましく、しかし可愛くウザくなく。
いわゆる「娘2」が歴代演ってきた役なので、彩花まり氏と発表されたとき、正直驚いた。
彩花まり氏は応援している生徒さんだけれども、お芝居をがっつり拝見したことがなくて、これまた想像がつかなかった。
けど、正塚先生があの難役を彼女に当てたということは、かなり期待が持てるぞ、とも思っていた。
んもー、素晴らしかった。
ティーナは純真でひたむきなのだ。
そのことに私が気が付くくらい、見事なティーナだった。
ぱっつん前髪可愛かったよ!

愛うららのバロット・ルシル夫妻も、初演・花再演とは違う演出だった気がする。
会話がよりナチュラルだったのでは。
「俺に任しゃあ一発よ!」
の言い回しに力みが無くて、本当に口癖でいつも言ってんだなコイツ、って感じだった。
ルシルの悪態も、キツさよりもウンザリ感が強くて、もう何年も辟易してるんだな……ってのが伝わるバロルシだった。
学年が近くて、今まで複数回相手役を演ってきた2人だからこそのバロルシだった気がする。
まっつ一花はもちろんレジェンドだけど、全く別物として好きです。
あと黒レースやら赤コートやら、うらら様に似合うお衣装ばっかだった。

しかし何と言ってもりんきら! 
演技力は彼女がMVPなのではないでしょうか。
超絶上手ぇ!!!! 
長台詞終わったとき、座席に沈み込んで感嘆してしまった。
苦しみ痛み憂愁、経てきた苦労、いろ〜〜んなものが台詞に滲んで、じんじんこっちの耳と頭と心に入ってくる。
今回の配役全部好きだけど、りんきらのノルベールはまじ最高。
正塚先生作品の再演は、先生の役に対する見方と生徒に対する見方の両方が明確になって面白いなぁ

作品が良いのは言うまでもなく。
音楽も歌詞も最高だし、ちょっと話ややこしいけどコメデイだし、笑えるところもたくさんだし、胸キュンもあるしハッピーエンドだし。
個人的に好きな正塚作品は別にあるけれど、おすすめ教えてって言われたらメラコリを挙げるし、まぁみりの全ツ版良かったよ! って推したい。