ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

雪組『仮面のロマネスク』初演

柴田先生連続。
悲劇的な最期を予感させつつも、ラストシーンの主役2人が本当に楽しそうで幸せそうで、これは柴田先生作品には珍しく? 割にハッピーエンドなのではないか。
と思ったら、柴田先生が原作から改変しているんですね。

作中ずっと、革命で貴族社会が崩れつつあることが示されていて、それに伴って主役2人の「恋愛遊戯主義」も崩れていく演出が流石すぎる。
そしてその演出はラストシーンでクライマックスに到る。

革命が起こったパリの街を背に、若い恋人たちのようにダンスをする2人。
滅びの美学と言うのでしょうか、別れと死を前にしながら最期に、窓の外の赤く燃える炎のように激しく燃え上がる2人の愛の美しさ。
トップスターと娘1との絡みより、他の娘役・女役との絡みが多い……とフラストレーションを感じつつ観ていたのですが、全てはこのラストのカタルシスのためだったのですね。

令嬢・人妻・他人の女、見境なく女性を口説きまくりヤリ捨てまくる高嶺ふぶき氏の、危うい色気が物凄い。
そんな高嶺氏の本命の女であることがすごく納得いく、お花様の気品と美しさ。
ダークレッドのドレスが似合うこと似合うこと。

確かにこれはゆひすみで観たくなるやつ……。
ゆひすみ版未見なのですが、さぞかし、さぞかしでしょうなぁ。

脇もすごい。
なんたって轟悠さまが長髪の鬘で22歳の青年(むしろ少年に近い)を演じてらっしゃる。
えらく厚みの無いキャラだな……と思っていたら、最後の方で美味しさが増した。

まだこの当時新人公演学年? 新人公演卒業したて? のとうこさんが、かなり大きな役をされていて流石。

そして箙さん・すっしぃ・チハル兄貴が揃ってるとか最強すぎるだろ……。
宙組結成寸前の、たぶん一番スターが各組にギシギシ高密度でいた時代なのでは……。

主人公がコマしまくる女性たち(たくさん)も、みんなヒロイン路線で、それを演じられる娘役が組の中に充実していたことがうかがえる。
まぁいつの時代も路線娘役は供給過剰なのかもしれないが……。
『アルジェの男』といい、柴田先生は複数の路線娘役を立てるのも上手いなぁ。