ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

宙組『ホテル ステラマリス』全国ツアー

この世にはまだ私の観たことのない正塚作品がたくさんあるんや……。

という訳で初見です、すみません。

しかも本公演ver.の録画が無いから全国ツアーver.だけや……。

 

かなり意識的に「ミュージカル的」な演出をしているなーと思いました。

それも、宝塚流のじゃなくて、ミーマイとかアーネストみたいな、海外モノのミュージカルを意識している感じ。

オープニングのダンスだけで進行するパートがめっちゃ長い。ショーかよ! ってなるw

「やっとたかこさん出てきた!」

と思ったら、まだ踊ってたしね。

けど、このオープニングだけで「たくさんの人が働き、行き交っているホテル」で「タカハナが出会い」「出会った途端2人の世界」というのが伝わるのですごい。

 

話は大体30分ずつで序破急に分かれている。

序:ホテル学の助教授と名乗るたかこさんが倒産の危機にあるホテルステラマリスに取材に来る。

破:実はたかこさんはホテルを買い取り再建する外部資本企業の調査員だった。初めは社長・従業員たちに抵抗感を抱かれるが、たかこさんにもホテルへの愛着が芽生え、従業員たちも協力的になっていく。

急:ホテルのある海岸一帯が再開発されることが決まり、ホテルはさらに売られることになった。これで閉館かと最後の夜のパーティーを開く一同だったが、ホテル前の海岸で希少種の生物が見つかり状況が一転。自然保護区の申請がされ、再開発の話は無くなった。たかこさんはホテルに残り、再建計画を進めることを決意する。

 

こんな↑感じで山場が3回くらい訪れるものだから、1幕だけなんだけど、2幕1本もの観た後みたいな見応えがあるんですよ。

んで、サブキャラクターのサイドストーリーも絡んできたり、濃い変な人も出てきて、正塚先生作品らしい楽しみがある。

だけど決して慌ただしくないし、「ホテルの再建」も「主演コンビの恋」も並行して起承転結明快に描かれているから、わかりやすいし、見終えた後は晴れ晴れした気持ち。

 

「正塚作品にいつもいるヘンな人」出てきたなぁ、と思わせたすっしぃさんが、最後の最後でホワイトナイトになるのもニクい。

すっしぃさん、正塚作品だといつもヘンな人やらされるねww

 

タカハナが徐々に惹かれていく過程の距離感も上手いなぁ。

正塚先生は本当に男女の馴れ初めの過程を描くのが上手い。

贔屓目かもしれないけど、そういうの描かせたら劇団一だと思ってるし、この作品の2人の間合いの詰め方はピカイチだと思う。

 

んでまた、おハナ様の幼なじみで婚約者のホテル支配人(全ツだとタニさん、本公演だとミズさん)(血圧高くてエネルギーが要る役です)が、たかこさんへの想いを募らせるおハナ様の背中を押してくれるのがたまらんのです。

幼なじみでずっとそばで見てきたから、言わなくてもわかるって言って……いい男だな!

こういうポジショニングの男性キャラって正塚作品だと少ない気がする。

三角関係がそもそもそんなにない気が……?

 

まぁこの作品、たかこさんにもフィアンセいるんで、四角関係なんですけどね。

そうそう、そのフィアンセがおハナ様に火花散らすシーンも、リアリティと生々しさがあって良いのだ……。

 

なんだか正塚先生、いろいろ試してみた作品だったんだろうなぁという気がする。

情景が伝わる素敵なセット、素敵な楽曲。

人情味ある、ホテルと互いへの愛に溢れた登場人物たち。

その中で育まれる恋。

爽やかな良い作品ですね。

 

チラチラみー大がフレームインするのが気になって仕方ないww

2人ともまだ下級生のはずなのに、この頃からお化粧きれいね。