ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

雪組 『君を愛してる-Je t'aime-』

単純明快で微笑ましいラブコメディ、なのだが。

内容のシンプルさの割に人が多すぎて、余っているんだよな……。

迫力や壮大さを出さなくても良いような物語で、しかもストーリーの本筋からは逸れたところで、大人数口のコーラスが入っている。

 

思えば『黒蜥蜴』も『バラの国の王子』もそうで、不気味なほどたくさんの「その他大勢」に主役格が取り囲まれ、コーラスで「追い詰められる」シーンがある。

カギカッコを付けたのは、キムシンにそんなつもりは全くなく、「主役格ではない生徒にも出演シーンを」という意図だと思われるからです。

だがしかし、宝塚ファン(そして恐らく生徒たち)が望んでいるのは、大野先生作品やサイトー先生作品のような、下級生に至るまで役名が付いていて、ほんの少しであっても台詞と見せ場があるような「出演シーン」なんだよォ~~~。

そりゃ大劇場公演のお芝居はシンプル・イズ・ベストだけど、そんなに人手が余るんならもうちょっとエピソード増やしてお話の密度上げれば良かったじゃない~~~!

 

そう考えるとキムシンも、イケコとは違ったベクトルだけど「大劇場大作作者」なのかもしれない……。

あのやたらコーラスと歌い上げが多い感じ、既視感がある、と思ったら、浜松市民オペラの『歌劇 ブラック・ジャック』だわ。

ミュージカルよりオペラ、なのかな?

アイーダを下敷きにした『王家に捧ぐ歌』は、題材の大きさと演出が丁度良いバランスよね……。

まぁ、あれも「役少なすぎ」「下級生ファン泣かせ」と言われる作品ではあるが。

 

あと、『黒蜥蜴』の印象が強すぎるのかもだけど、必然性がある訳ではなく、女性ファン受けを狙って「結婚」「プロポーズ」というモチーフを使っているように見えるのだよな。

このお話は「結婚をしなければ遺産を相続させない」という父親の遺言から始まる貴族青年の騒動を描いているんだけど、「結婚をしなければ遺産を相続させない」っていう条件がそもそも必然性が低いでしょ……? 現代が舞台のお話なんですよ、これ……?

違和感を覚えることなく恋の過程やラブシーンに感情移入できれば、ラストは必ずしも結婚じゃなくても良いんですよ、恋の成就でも生き別れでも、駆け落ちのような二人だけの旅の始まりでも良い。(あっごめん、ぜんぶ正塚作品だわ!(⌒▽⌒)ごっめーん!(⌒▽⌒))

 

いや確かにラストのウェディングドレスシーンは感動したけどね……? となみの美しさとミズとなの美貌揃い踏みっぷりに……。

そしてゆみこ美穂コンビが美声すぎて泡を噴いた