ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

宙組『A/L(アール)』-怪盗ルパンの青春-

うるさすぎないサイトー先生作品(笑)。

タニウメのプレお披露目だったんですねー。

プレお披露目にふさわしい、瑞々しく初々しく可愛らしい、けどタニさんのカッコよさ・ウメちゃんの元気はつらつさが活かされた作品。

 

活劇あり、ロマンスありでとてもバランスが良い。

サイトー先生らしく、泣かせる要素もありつつ。

ルパンが初めて「怪盗」として活躍するきっかけになった出来事、「怪盗アルセーヌ・ルパン」の誕生を描いてます。

たぶん原作にはない二次創作エピソードだと思うんだけど(笑)、それによって「幼なじみの少女」というヅカファン大好物の萌え要素が生まれ、恋愛モノとしても大成功してます。

ローマの休日かロマパリみたいな、お忍びデートがあるのもデカい。

 

真ん中のタニウメが美の競演&持ち味を活かしまくった役柄で輝いてるのはもちろんなんだけど、脇もがっしり固められてます。

 

ルブランのまいらさん。

彼女がこの作品の立役者と言っても過言ではないのでは。

活動的な職業婦人だけど、大人の女性でもあって、やかましすぎない快活さ。

突然歌い出す難しい演出にも対応できる実力。

舞台上で起こっている出来事と、現実の私たちの世界に存在するルパンの小説とを結ぶ、要石のような役割を上手く果たしてました。

 

ホームズのみっちゃん。

みっちゃんって上手すぎるがゆえに使い方が難しいスターかなと思うんだけど、流石みっちゃん大好きサイトー先生、半分語り部・半分トリックスターのような絶妙な立ち位置で、みっちゃんの上手さ・お芝居の重さ深さが活きていました。

ホームズのみーちゃんとの掛け合いも作品の中の息抜きになってます。それ言い出したら息抜きだらけの作品だけど。

 

ルパンの父親、まさこ。

歌もお芝居も今に比べてかなり課題点なんだけど、あの押し殺すような渋さ・ストイックな色気は、まさこの美貌があってこそだなぁと唸らせる、名配役。

 

サイトー先生作品というのは知ってたから、だいぶ前のだしどんなにぎやかいやつなんだろう、と警戒して観はじめたのですが、なかなかどうして、きれいにまとまった佳作でした。

 

アール・ヌーヴォー華やかなりし時代のパリが舞台だから、お衣装やセットもロマンチックで素敵なんですよね~。

正塚先生のルパンも、原作の時代設定はもっと後だけど、アール・ヌーヴォー調のセットを使いたかったから10年位ずらしたって言ってたもんなぁ。