花組『愛のプレリュード』
まとらんの良さが活かされている。
闊達で、少女らしい世間知らずさと勢いの良さ、それが却って魅力になっている蘭ちゃん。
娘1には珍しい、思いっきり叫ぶシーンなんかもあり、本人も気持ち良かったのではないかなぁと思わせるエネルギーの発散っぷり。
そして蘭ちゃんがはつらつとすればするほど、まとぶんの「静」の魅力、大人の男(もっと言えばおじさま)の渋さ・包容力・「抱きとめ力」が際立つ。
『麗しのサブリナ』でもそうだったし、まとらん、良い組み合わせだったのだなぁ。
後妻だったから仕方ないとはいえ、もう何作品か、いろんな関係性の2人を観てみたかった。
さらに、タカラヅカらしい男1と娘1のロマンス、男1と男2の友情、娘1をめぐる男1と男2の恋の鞘当て、すべてが描かれ、並立している。
ものすごく意欲的、かつ、成功している。
花組らしいスーツものだし、勧善懲悪だし、ヒロインの成長も描かれているし……。
鈴木先生、大劇場デビュー作でこれというのは、なかなか!
なかなかクオリティが高いのではないでしょうか!?
格闘シーンが殺陣じゃなくてダンス(しかもまったりテンポ)で表現されてて、迫力全然なかったけど、BASARAでは改善されてたし……ぶっちゃけ、今まで見た鈴木先生の作品の中で一番好きだよ!?←
ラストシーン、自分のハットを蘭ちゃんにかぶせて、つばを指でシュッとするまとぶんが好きすぎる。
全身白スーツコーデだし、あれそういえば、と思って確認してみたら、まとぶんのサヨナラ公演だった。
蘭ちゃんを本舞台に残し、銀橋を渡って去っていくところなんかも、まとぶんの男役としてのカッコよさが活かされている上に、卒業と上手く重なり、ニクい演出。
傑作とか名作とかではないかもしれませんが、佳作だと思います。
ベーシックな宝塚のお芝居、という感じ。
けどもしかして唯一の大劇場作品なのか……???
BASARAからこっち、自作が無くて演出補ばかりなのとか、なんだか鈴木先生の待遇にはいろいろ穿ってしまうものがあって、気が重くなりますねい……(´・ω・)
ちなみにですが、この作品の演出助手だった生田先生が、同じ花組で大劇場デビューし、それが蘭寿さんのサヨナラ作品だったというのは、深い因縁を感じます。勝手に。