花組『ヴェネツィアの紋章』
ナツメさんが、ヴェネツィア元首のマヤさんの息子なんですね。
なんですけど、トルコ赴任中に現地の愛妾に生ませた子どもなので、貴族とは認められてないんですね。平民なんです。
今はトルコを拠点に、ヴェネツィアのためにスパイをしているんですけど、そうしてもなお「ヴェネツィア」は彼のために報いてくれることはないんですね。
で、ナツメさんには恋人がいたんです。
ひびき美都さん演じる、貴族の娘さん。
貴族と平民なので、結婚できませんでした。
ナツメさんがトルコに拠点を置いたのは、彼女との失恋がきっかけでした。
この、「境遇のせいで屈折してしまったけど出自は高貴」ってキャラクターが、ナツメさんに非っっっ常~~~~~~に似合うんです!!!!
(まずこれが言いたかった)(長くなった、ごめん)
翳のあるセクシーさ、知的でありながら溢れる情熱、だだ漏れる気品!!!
二番手のヤン様も「翳の魅力」が持ち味のスターさんだと思うんですが、そのヤン様よりも深い翳。
(主人公との対比のために、ヤン様が見た目も歩む道も陽のキャラクターだったってのもあると思いますが……。)
魅力盛り沢山のスターさんだったんですね……素敵です……。
さて、元恋人のひびきさん。
今は別の貴族と結婚しています。人妻です。
10年の時を経て、2人は再会。
舞踏会の場で情熱的に踊る2人。
ここはダンサーのナツメさんですから、魅せます魅せます、見せつけられます。
「普段の奥方とは思えない」と周りに言われるほど。
恋の炎の再燃です。
貴族の娘を妻として迎えるにふさわしい男になるため、ハンガリー国王の座を狙い、ミキさんら貴族の庶子仲間・トルコ兵と出陣するナツメさん。
(この元気でやんちゃなミキさんもすごく合っている。)
ひびきさんは今の貴方のままで充分だ、身分が何になるんだ! と止めますが、身分も誇りのために必要です……と振り払うナツメさん。
結局、ヴェネツィア元首の息子という立場が災いして見限られ、無念の中で死んでいくことになります。
ひびきさんも船から身を投げて自死。
誰も幸せにならない! 柴田作品ですね~!←
父親のマヤさんと対峙する場面も緊張感があり、印象深かったです。
ナツメさんを愛しているけれど、元首ゆえヴェネツィアを優先するしかなかったのよ、と母親に諭されるも、結局交わることができない父と息子。
(あと正塚先生作品ばかり見ているので、面白い役を演らず、普通の組長・専科生みたいな役を演っているマヤさんを見ると違和感がある……w)
真ん中の方の色や、演出の力によるところも大きいと思いますが、まぁコスチュームものが似合う似合う!
この時代のイタリア貴族社会、お衣装も壮麗だし、歴史ドラマ豊富だし、もっと題材として取り上げても良いのでは……?