星組『エル・アルコン -鷹-』
野心のためなら手段を選ばない、黒スパンギラギラしてるようなとうこさんに、とうこさんを一騎討ちで迎え討てる声の低い女海賊・あすかちん。
はじめはまっすぐキラキラな金髪青年だったのに、とうこさんに人生を狂わされ裏の道を歩みはじめるちえさん、と、かなりかなりハマっている配役。
しかし、主人公が女性を、しかも2人も手籠めにして、よりによって2人とも主人公に夢中になってしまうというポリティカル・コレクトネス皆無の展開は、女性がメインターゲット顧客の宝塚でやって良かったのか。
特にあすかちんなんか、「殺したいほど憎んでいた」のに、とうこさんが幼少時代に出逢って自分が励ました少年だとわかった途端コロッと恋する顔になる。
普通そこは「あんなに可愛かったのに今となっては……」ってなるもんだと思うんですがね。
野望達成率10%くらいで主人公が(割とあっけなく)(特に必然性も感じさせず)死んでしまう終わり方も、うーん、原作付きだから仕方ないけど、サイトー先生これオリジナル作品だったら絶対やらないやつだよね……?? ってところがどうしても目につく鼻につく。
長大な原作を1時間半にまとめようとしてるから毎度おなじみ駆け足ペースだしね。
私はサイトー先生オリジナル作品の方が好き! だよ!!!
セットも甲板と室内(特に何も無い、寝椅子くらいしか無い)を行ったり来たりで見た目に単調なのだよな。MOTTAINAI
と、気になる点をあげつらいはしましたが、妾腹(しかも父親はイギリス貴族で母親はスペイン人女性のため父親からも蔑まれている)(しかも母親の彼氏の子どもなので父親の血は一滴も入ってない)で昏く熱い炭火のような野心メラメラのとうこさんは本当に本当にハマっていますし、娘1が「最強」の名を冠され、主人公とライバル関係っていうのも嬉しい。
(だからこそ残念な点が本当に惜しまれるのですが……。)
あとなんたって曲が最高ですね、音楽すべて良い。
ゲド戦記の作曲家さんを招聘したのだな。
宝塚ってたまにこういうゴージャスコラボやるからやっぱりすごい劇団だなと思う。
外部の風を入れるのも大事ですわよね。