ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

月組『バロンの末裔』

すごくきれいにまとまっていて前向きで、めちゃめちゃいい話だな!?
これも見るの3回目とかなんだけど、今回やっと良さに気付けたというか、テーマ曲の通りなのだな、「I wish」であり、夢や望み、未来への展望がテーマなのだ。

人に薦めやすい正塚作品w
好きな正塚作品は別にありますが、人に薦めやすいかはまた別の軸です。

次男坊で家督を継げず、やや自暴自棄な貴族の息子が、受け継いできた土地や建物を守る貴族の義務=ノブリスオブリージュに目覚める話。
時代的にも題材的にも『ダウントン・アビー』と重なっているので、あのドラマを見た後に見返したってのもあるかな。

金絡みの策略に陥った兄を主人公が救う、という、薔薇雨とかホテルステラマリスと似た筋なんだけど、正塚先生たちスタッフが現地取材からインスピレーションを得た舞台装置・音楽・演出がいきいきとしたリアリティ、スコットランドの空気や湿度を感じさせて、「観る」というより「体験する」という印象の作品に仕上がっている。
生田先生もパリ現地で見た若者たちのデモ? を下敷きにしたという伯爵令嬢の剣をペンに〜のシーンが素晴らしかったし、やっぱり演出家陣は遊ばせないとダメですねw

ロマンスもがっつり!
ラブシーンの尺の長さは正塚作品一なのではw
ずるい女なんだけど、自分のずるさを口に出さずにはいられないくらい高潔なヒロインが、気高く美しい。
風花舞さま、『黒い瞳』のときは特に思わなかったんだけど、お声がしっとり&まっすぐでとても印象的できれい。
声の出し方変えてる?

ヒロインへの恋を通して、土地と人々への義務に目覚めるという流れになっていて、その繋げ方もきれい。
サヨナラ公演だったから、ヒロインを残して去る終わり方なんですが「この土地と屋敷を守る」という決意・生き甲斐ができ、明るく上を向いて終わっているので、鑑賞後の気分も爽やか。

ちゃらいけど夢にひたむきなマミさん、カタブツだけど真っ当に義理を通す憎めないずんこさん、きれいな英語がしゃべれない(という設定なのであろう)汐風さん、と、脇を固める二枚目布陣も充実。
特に汐風さんは重厚なこの作品の中で可愛く軽妙なスパイスになっていて、みごと大役を果たされた! と思った。

なにげに従僕コンビがじゅりさんとおっちょんでびっくりした。
新公おっちょんだったんだよね。
見たいなー、どうにかして見れないかなー