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ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

花組『冬の嵐、ペテルブルグに死す』

野心と妄執に取り憑かれ、幻覚とアルコールに蝕まれて自滅していく青年の物語でして、よくぞこれ宝塚のトップスターに演らせたなぁ、という感想なんですが、1965年に一度同じ題材で上演してるんですね。

(当時のバージョンは『スペードの女王』と原作通りのタイトルだった。)

(『冬の嵐~』は太田先生脚本となっているので、新たに書き直したのでしょうね。)

 

前半は、地位も才能も無いくせに野心と自意識だけは人一倍過剰な主人公がクサってて、演じてるのがヤン様みたいな美青年じゃなけりゃ見てらんねーぜってイライラさせられるんですが、後半、伯爵夫人を死なせたあたりから俄然面白くなりました。

伯爵夫人を死なせた(直接手を下した訳じゃないんですが、驚かせてショック死させてしまうんです)ところから、この主人公、完全に精神を病むんですね。

冒頭から未沙のえる氏・天地ひかり氏演じる、「主人公にしか見えない」悪魔のようなキャラクターが現れて、主人公を野心に向かってそそのかしているので、「幻覚」は当初から見えているってことなのだと思うのですが。

 

んで、この精神を病んで、伯爵夫人の「亡霊」に悩まされ、アルコールに溺れる主人公の自滅っぷりを演じるヤン様が上手い上手い。

迫真の演技で、こちらを引き込みます。圧巻です。

なんであなた、タカラジェンヌで、しかも花組のトップスターで、それだけネガティブな要素が揃った役が上手いの!? って質問したくなります。

これが安寿ミラの魅力、陰の輝きなのだなー。

 

ヤン様の翳の魅力を更に際だたせるのがミキさん。

青年貴族で近衛少佐という、地位も未来も確かで、明るく爽やかなキャラクター。

見事にヤン様と好対照を描いています。

これがヤンミキの魅力だったのだな~とまじまじ。

 

ミキさんの婚約者でありながら、ヤン様の根暗で執拗な、ストーキング的なアプローチにぐらぐら心揺れて惹きつけられてしまうみはる氏も、物語の展開と共に、可憐な容姿とお芝居にどんどん色と体温が加わっていって、魅力的なヒロインだなぁと思いました。

勘違いからヤン様にタンカ切るところとかすごくいい。

 

全く救いのないバッドエンドなんですが、ラストに天国? みたいな、真っ白で現世で結ばれなかった2人が手を取り合って幸せそうに微笑み合うっていう宝塚らしいシーンがあって、ギリギリ気持ちが救われます。

 

あと脇役女子にグン様とあき様がいて、「花娘の層の厚さ!」って思ったし、ガイチさんリカさん(マミさんもいたかな?)と中堅~下級生男役も豊富で、花組強いなーって思いました。

新人公演主演はガイチさんだったみたいで、なるほど合いそう、それも観たい……と思いましたわ。