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ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

花組『ハイパー・ステージ!』

NHKの「宝塚シアター」の映像で観たんですが、タイトルだけでもうもらったも同然なのに、「作・演出 石田昌也」の文字がクルクル回りながら飛び出てくるエフェクトが掛かってたり、各場面のタイトルのキャプションが創英角ポップ体だったりして、始まる前から完全に腹筋が死滅しました。

 

ビバ麗しの90年代! と涙を流したくなるような、当時の最先端の「カッコいい」が詰まったショーです。

OPは、TKファミリーやエイベックス全盛期にあった、打ち込み系のチャカチャカいう音楽にパキパキした振り付け。

お衣装もSFチックで、世紀末が夢見た21世紀っぽさがあって良い。

個人的(年代的)に多感な時期を過ごした時代なので、当時それらのカルチャーに抱いたワクワク感、嬉しさがこみ上げました。

 

併演は『冬の嵐、ペテルブルグに死す』で、自意識と妄執の中で自滅していくひたすら「暗」のヤン様と、友人に裏切られヒロインを喪い、それでもなお微笑みを浮かべていられる人柄と未来を持った「明」のミキさんという、ヤンミキの持ち味がハイコントラスト対比で描かれたお芝居だった訳ですが、こちらのショーでも同様の棲み分けがされています。

 

オープニングに続く第2場はミキさん演じる若きレーサーの場面。

意中のみはるさんに告白しますが、次のレースで優勝したら受けてあげるとあしらわれてしまいます。

レースでは見事優勝。音楽も照明もテーマも明るくカラッとした、青春の1シーンです。

既にスターオーラ完璧で、いつトップになってもおかしくないような、二番手として力を蓄えまくってる様が、映像でも伝わりました。

 

続く第3場は、トンネル工事が平家の落人の亡霊を呼び覚ましてしまうというもの。

(マヤさん演じる市長が小役人ぽくて可愛い。)

なんと、この平家の落人の棟梁がヤン様なんですね。

トップスターなら普通、亡霊を鎮めるヒーローにキャスティングされるでしょう!!

 

しかしそこは「陰」を演じさせたら天下一のヤン様、なぜか似合うのだ。

最後、部下の亡霊たちに組体操みたいに持ち上げられて、ピラミッドのてっぺんで見得を切る、そのときのスターオーラったら半端ない。

「陰」「翳」のキャラクターをこれだけ眩しく演じられる稀有なスター。

OG・現役生にもファン沢山なのも納得……。

 

この他、やたら派手なスーツでヤン様がニヒルな微笑みを浮かべながらキザりまくる場面とか、皆がアニマル柄着て草野ショーみたいなジャングルのセットで歌い踊る「ジャングル・キング」の場面とか、場面場面のつながり・脈絡は全く無いにもかかわらず、どの場面も濃いので全体としてなぜかまとまりを感じるという不思議な構成のショーになっています。

Eテレのキッズチャンネルの時間帯みたいな感じです。

全部原色で、強烈なキャラクターとキャッチーな音楽&振付が出てきて、それぞれ別番組なんだけど総体として「Eテレ」って感じるじゃないですか。あの感じ。

やはりダーイシショーはEテレなのだな。

 

男役群舞も珍しい、ゆったりしたベージュ&白のスーツ。

いろいろ挑戦的です。

ロケットは可愛い水兵さんのセーラー服で、ロケットのお衣装としては異質なんですが、いかんせん他の場面が濃すぎて「まぁ可愛いわね!」って受け止めてしまい、インパクトとしては薄まっています。

 

ヤンみはるの場面が異常に少なく、ミキみはるの場面が異常に多いのも不思議ポイント。

なんと、エトワールは娘1のみはる氏です。

今に始まった不思議配役ではないのだな、娘1のエトワール。