月組『シニョール ドン・ファン』
な、なんだよ~~~リカクラちゃん可愛いじゃないかよォ~~~
カップル何組もハッピーになるエンドだし、景子先生はなぜこういう「宝塚らしい」方向性をやめて、文学性? を頑張る今の方向性になってしまったのかな……?
まぁ、何作もやってつまんなくなっちゃったんだろうな、ラブラブハッピーエンド。
とりあえずOPの、真っ赤なハート型チェアにサングラス掛けて座って、スカしてインタビューに答えるリカさん、という絵面だけで(腹筋の)掴みは完璧でしょう。
その後美しかわいい月組路線男子たちがふちに黒ラメの付いた学生服みたいなお衣装で出てきて総踊りするのも圧巻。
どこまでがコシノヒロコ氏のデザインかわからないけど(お衣装全部なのかな……)、続けて月娘たちのランウェイが見られるのも得した気分。
しかし「人類の半分、すなわち全女性の心を掴む」という台詞の割に、ランウェイスタイルはベージュっぽい埃っぽい色で、あまり心躍らなかったのは私だけでしょうか……当時はあれがトレンドだったのかな……。
狂言回しのきりやんが台詞を言う抑揚、間が絶妙。
やっぱりきりやんって面白いよな……。
やっぱりと言うべきか、みっ様と似てて、上手すぎるあまり浮いてて、語り部役、他の登場人物たちより0.5次元客席に近い役が多いのわかる。
専科から汐風幸さん・サエコさんが出ていて、スターが混み合ってる公演なんだけど、それぞれに旨みがあるのは景子先生の腐心の結果であろうと思う。
男1と娘1が結ばれない、どころか、実は娘1は男1に恋したりそのことで悩んだりしていた訳ではなかった、というオチも、なかなか驚きをもたらされたし、サスペンス部分の真相に関しては「そう来たか!」と思った。
挿入歌的にアヴェ・マリアが使われている理由もなるほどーとなるしね。
景子先生にしては娘役の役が多いなーという印象。
あいあいとかるいるいとか、これまた混み合っていたであろう娘役たちそれぞれに、見せ場とハッピーエンドを用意してくれているのは、字義通りありがたい。
だがしかし、娘役の役が多いから余計に、女性キャラの書き込みの薄さ・弱さの事例が一度にたくさん見えてしまうんだよなー。
様々な職業・性格の女性キャラを作ってバリエーション豊かにしたつもりだろうけど、全員「男性に愛"される"ことによって幸せになる」という命題の下でしか生きられていないあたりに、景子先生の(ご自身が女性であるにもかかわらず)女性をナメきった姿勢が見えてしまう。
あたかも彼女たちそれぞれが幸せな人生を「見つけた」かのように描かれているけれど、これ結局景子先生による価値の押し付けだよなー、と感じ、ラストシーンあまり萌えることができなかった。