専科・雪組『花供養』
90周年記念の日生公演。
主演はイシさん。
出演者はがっつり実力派上級生の専科メンバーに、雪組からケイとなみハマコさんシナちゃん。
脚本:植田紳爾先生の……ストレート・プレイです。なななんと……。
宝塚でオリジナルのストプレがあったなんて初めて知ったよ。
ミュージカル劇団じゃないんかい。
妙に歌舞伎っぽいから、原作があるのかなと思ったんだけど、どうやらそういう訳でもないみたいね?
史実に基づいた、実在の人たちがモデルのようだけど、あまり見ない題材よね。
江戸時代初期の、後水尾天皇とその愛妃のお話。
前述した通り、妙に歌舞伎っぽい。
植爺だからな……と言ってしまえばそれまでなんだけど、ベルばらや風共の仰々しさ・脚本のクドさが、日本ものになると不思議と伝統芸能っぽく思えるから、やっぱり植爺のルーツはそっちなんだな。
専科メンバーは慣れたもので、植爺演出にガチッとハマっております。
演技力の高い、つまりナチュラルな演技をするケイさんが、この世界の中だと逆に浮いてしまっていた。
稽古期間では植爺演出をモノにできなかったかー。
(ハマコさんシナちゃんもだけど、ハマコさんは庶民の女、シナちゃんは江戸から来た将軍の娘という、貴族社会では浮いていて然るべき役なので、その演じ方で合っているのだ。)
となみ氏もかなり苦戦しているように見えた。
貴族の女性だから京都弁しゃべらなきゃいけなくて、その京都弁がかなり無理をしてしゃべっているように聞こえた。
んで、京都弁に必死で、演技をするところまで達してない感じ。
しかしビジュアルはとても美しかったです。
専科メンバーは言うまでもなく大変見事なんですが、いかんせん脚本が冗長で、流石に場面がダレてきた頃に、轟悠登場。
ここで場の雰囲気が一気に締まります。
これはいかな専科メンバーといえど、トップスター経験者であるイシさんにしか出せないものですよね。
イシさんのオーラの凄さを再認識した。
しかも、クラシカルな台詞回しでも熱を込められる方だから、植爺演出にノリつつ、感情を込めたお芝居ができるんですよね……たまにいるよねこういうタカラジェンヌ……すげぇよ……。
歌も踊りも無くて、一つ一つの台詞がやたら長いです。
ストーリーも、まぁそこそこ衝撃的で辛いものではあるんですが、なんてこたないベーシックな起承転結に則った三角関係モノです。
しかし、実力派出演者たちの技量と、イシさんが放つ緊張感・緊迫感、雅な公家の生活の優雅で美しい世界観で、掴まれたまま一気に観てしまいました。くやしい。
男のキャラがイシさんの後水尾天皇とケイさんの近衛信尋だけで、ユーちゃんさんとか磯野千尋さんとかが女役やってます。ド迫力でした。