雪組『ロジェ』
あれっなんでだろ、こんなに良い話だったっけ……?
本役さんたちのエネルギーに気圧されてるだけかしら??
おまけになんか音楽めっちゃ良くないですか!?
なんでだろ、新人公演だとあんまり意識が回らなかったんだけど……。
「本能~♪ 本当~♪」の曲とか、メロディ良い上に面白いし……。
当たり前だけど、新人公演とはやっぱり違いますね。
『バルセロナの熱い花』でも感じたけど、ストーリーの流れ・テンポを生む力、観客を物語に載せる力が強い。
「見ろ!!!」って観客の集中力を途切れさせない力もね!
特に違いを感じたのはマキシムかな……。
新公のりーしゃも充分上手いんだけど、コマちゃんは格段に上手い。
なんか、生きているレイヤーが一階層違う感じ?
凄みを感じるほどに上手いわ……。
シュミット先生もね!
殺せ殺さないのやりとりのところのエネルギー、固唾を呑んで見守ってしまう。
観客の目を釘付けにする緊張感があるし、怒鳴り声のエネルギーも激しい。
聞いててつらくなるけど、この怒鳴り声芝居が正塚作品ならではのエネルギーって感じもする。
いや、サスペンス比重高すぎでロマンス比重低すぎって印象は変わらないんだけど、短いロマンスパートにグッと萌を凝縮しているのを感じる。
診療所で手術を待つ間
「そばにいさせて」
ってレアが泣きそうになりながら言うところとか。ケナゲ!
ラスト2人で踊るところも、
「せめて最後に……」
ってレアが言いかけたのにロジェが食い気味で
「うん、踊ろう!」
って応えるところが少年のようにイキイキしててね。
あと私今まで2~3回観て気づいてなかったんだけど(バカ)、最後のシーンだけレア、それまでの地味な格好と全然違う、はっなやか~~なフューシャピンクのドレス着てきてるのね!
勝負服!
ブエノスアイレスで過ごせるのもロジェと会えるのも最後の夜って思って勝負服着てきてるの! ちょうかわいい!!!
あ、そうそう、脚本の細かいところだけど、のうのうと暮らしてることを「口を拭って暮らしてる」って言うの良いよね。
意味はすぐ伝わるけどあんまりしない言い回しだから耳に残った。
NHKのハイビジョン放送版で観たんですが、ラストシーンのカメラワークがすごく良いんですよ。
銀橋のロジェの表情をどアップで長写しして、本舞台の全員を斜めから映して、ロジェ=ミズさんが旅立ちの決意をしたのを、雪組生皆が暖かく見送るみたいになる。
こういうところに、サヨナラ公演ならではの良さ、感慨もあるんだよな~。
記憶の中より良い作品でした。見返して良かった(ちょろ)。