ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

星組『バビロン 浮遊する摩天楼』

オギーショー=耽美! エキゾチック! って先入観(私の中に)あるんだけど、実物を観ると意外と現代的な場面や明るい場面も多かったりするのよね。

その(私にとっての)意外性の典型のような作品。

けどタイトルにも「摩天楼」ってちゃんと書いてあるんだよね、ちゃんと読もう、私?

 

都市が滅びて再生するという大きなストーリーがあって、その中で何度引き離されても、生まれ変わって何度でも出逢う恋人たち(ターあき)がいるっていう構成なのかな?

 

ちえウメのダンスとシビさんのお歌で幕開き。適材適所!

「どこで生まれてどこへと還る あてなき旅の終わりは始まり」

オギーショーは歌詞が美しく完成されていて、全部写経したくなるな……。

確かにこれを知ってしまうと、K野ショーの歌詞とか何だよwwww ってなっちゃうなww

 

黒マントのとうこさんが廃墟の街で歌うという不穏なOP。

とうこさん、このショーでは基本的に不穏担当というか、不吉を告げる者として登場するんですよね。

タータンが歌い継いで明るく終わったからホッとしたけど。

歌詞の内容は「旅の終わりは遠い~♪」って、見通しが暗いんだけどな!

 

オギー的にとうこさんは不穏ボイスの持ち主なのかしら……確かに明るい歌声の方ではないしカラオケの十八番は津軽海峡冬景色だった……。

暖かく明るい歌声のタータンと、翳があって語るような歌声のとうこさん、お二人とも歌ウマだけどタイプが全然違って、そんなお二人が組替え前も組替え後も同じ組にいたって面白いですね。

 

あとこのOPは、大階段の途中から手前に向かって花道が伸びていて、それがセリとつながってて、渡り切るとセリ下がれるようになっているのが面白いんです。

んで、その花道も、起こすと摩天楼のセットになっているという。

とうこさんが歌うところ、紗の向こうで下級生が背負った羽根をフリフリして、モヤモヤが動いてるように見せる演出も、すごくSUKIです///

 

トレンチコートのタータンが街に降り立つところ、鳥をイメージしているであろう振付で踊る組子に囲まれるシーンがとても好き。

幾重にも布を縫い付けた翼のようなお衣装が空気をはらんで風を感じさせる。

すごくきれいで幻想的。目覚めながらにして夢を見ているのでは……? という気持ちになる。

ターあきの出逢い。あきちゃんはギャングの女か何かなのかな?

あきちゃんにキスされた右手首に、愛おしそうに唇を付けるタータン。

 

シビさんの歌をきっかけに、ロマンチックな場面がガラッとネオン街になる演出もすごく良い……。

そして退廃した街+ジゴロすら、デカダンスの美を感じさせて幻想的なんだよなー、すごいよなー。

 

「砂漠の風 災の予感」再びとうこさんが不穏な歌を歌います。

手を取り合って街を逃げ出してきた? ターあきがたどりつく砂漠の街(モロッコとかかな)のクラブ。

オギーは中東モノのテイストを自由自在に扱えるのがすごいですよね。エキゾチシズム職人。

美女か美少年かわからない、アンドロギュヌス的な人物(誰だったんだろ、キャプション見そびれた)に誘惑されるター&あき。

 

「何もかも誰かの夢 迷い込む砂の海で

 かすかに触れた 刹那の恋」

 

砂嵐にさらわれ、あきちゃんを見失ってしまうタータン。

しかし諦めません。

右手首に再びキスをし、彼女を探す旅が続きます。

 

そしてとうとう出てきちゃいます、バビロンの神殿!

エキゾチック&にぎやかで良いですね。

そうだよな、今の私たちは遺跡のバビロンしか見られないけど、当時はこんなもんじゃないくらい賑やかに華やかに栄えてたんだよな……。

と、ここでのバビロンの繁栄が華やかであればあるほど、「都市の滅亡」というテーマが際立つんだな……ナルホディウス

 

場面によって変わるあきちゃんの髪飾りが全部素敵なんですが、この場面のは特に素晴らしいです。さすが花(組にもいた)娘(役)!

 

再びネオンの街に戻り、再会を遂げるターあき。

今度こそ邪魔は入らず、ようやく2人は結ばれます。

(これってもしかしてターあきの経てきた道のりを表してるのかな!?)

愛の歌を歌う2人。

やっぱりターあきはハモってこそですね……歌で愛を語り合えるコンビ。

 

フィナーレのデュエダンがちょっと変わっていて、組子全員に囲まれた中で踊るんですよね。

愛を確かめあうように何度も見つめあうターあきが、ときめきとかを超えて、もはやすごい。

この2人の愛の深さって、やっぱちょっと格が違うというか、圧倒されますよね……。

 

「長い旅の終わり」という歌詞も出てきて、ちゃんと冒頭の設定が回収されました。

さすがオギー!

 

パレードもちょっと変則的です。

銀橋でエトワールが歌って、大階段の真ん中にはあきちゃん。

あとはあきちゃんがずっと歌ってw、横を組子たちが降りていきます。

こんなん初めて観た。

「うちの渚あきの歌ウマっぷりをご覧ください!」

ってプレゼンみたい。歌える娘1は作品のいろんな可能性を拡げるんだなぁ。