ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

月組『TAKARAZUKA花詩集100!!』

宝塚花詩集、光り輝く宝石箱、宝塚花詩集、100万本の愛のブーケ……。

もう、主題歌を思い出すだけで泣いてしまいそう。
あるいは、主題歌を聞くと、泣きそうに震えた記憶がよみがえるからだろうか。

アントワーヌ・クルック氏のデザインした衣装がとにかく素晴らしかった。
革新性・アヴァンギャルド性こそが宝塚の伝統。
宝塚の演目は、どこの時点からか「宝塚らしさ」で自縄自縛し、閉塞的な自己模倣の繰り返しになっていたのでは。
そう思わされる大胆さだった。

しかし、破壊でも破戒でもなかった。
クルック氏も大介先生もまさきさんも宝塚が大好きで、宝塚を愛し、信頼しているからこそできたチャレンジだったのだと思う。
やはり、文化や美は、混ざり合うこと、境界を超えることで前進し、活性化するのだ。
クルック氏のように、宝塚への愛とリスペクト、宝塚の舞台の特徴(クセと言っても良いかもしれない)への深い理解、宝塚に新しい血を注ぎ込めるほどの実力が備わったクリエーターは他になかなかいないかもしれないが、外部スタッフの起用は要所要所で続けていただきたいなぁ、と願う次第である。

そして、斬新な衣装をまとって、大胆な演出の舞台の真ん中で光り輝くまさきさん。
宝塚100年の歴史と記憶、101年目からの未来をあの細い体、繊細な心で受け止める重圧はいかほどだったろう。
それでも彼女はキラキラとして美しく、あの衣装を着こなし、月組を引っ張っていた。

組子たちのチャレンジ精神の天井は、トップの大胆さが決める、と思っている。
トップが大胆な挑戦をすればするほど、組子たちも勇気を出してチャレンジができる。
まさきさんは今、組子たちの天井を押し上げているトップスターだと思う。
彼女がそうなったのにも、この公演を経た自信が寄与しているように思う。