ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

『Music Palette』ビルボードライブ

みっ様は男役とかタカラジェンヌという枠を超えて、エンターテイナーなのだなぁと思う。
しかし、宝塚の男役になっていなければ、今のみっ様は無いんだろうなぁ。

みっ様の舞台姿は、お手玉の名手が軽々といくつものお手玉を扱うように見えるのに似ている気がする。

今や何をやっても
「みっ様なら朝飯前」
「上手すぎて浮いてる」
と言われるような彼女だけれど、元々は成績ブービーで入学したという。

血の滲むような、という言葉では足りない努力があったに違いないのだが、私たちはそれを微塵も感じることができない。
上達しすぎて、軽々とこなしているように見えてしまうのが彼女が損をしているところだとは思うのだが、本来プロフェッショナルとはそうあるべきなのだ。
あぁ、だからタカラジェンヌらしからぬ、と感じるのだろうな。

このビルボードライブは、短い時間かつみっ様の一人舞台で、今や彼女の持ち味となった「実力に裏付けられた軽妙さ」が余すことなく楽しめる。

三味線で監獄ロック弾きながら替え歌歌っちゃうスターなんて!
サックスはあって当然ですよね、というようなMCと共に演奏される。

しかし、しかし、この公演の醍醐味は、最後のみっ様のコメントにあると思う。
18年という月日の長さ。
ここまでの道のりの辛さ、苦しさ。
そしてそれを乗り越えさせるほどに深く強かった、彼女のファンたちの愛。

お手玉を、軽々とではなく、まずは1つ、次に2つ、おぼつかない手つきで練習してきた姿が垣間見えた。
すごい人がトップスターになった。
実力も、それを築きあげる努力をする才能も。

間違いなく当時のみっ様の集大成だし、そして、ファンへの愛と感謝が詰まった、中身がぎっちぎちの重たーーい宝箱みたいな公演だった。