月組『我が愛は山の彼方に』全国
うぅっ、これは私むりなやつだ……。
ベルばら・風共以外の植爺作品を観ることで、ベルばら・風共含めた「あかんところ」がわかりやすくなりますね。
まず、主要な出来事を描かない。
主役2人の出会いとか、チャムガの下で過ごした1年間とかの過程こそが胸キュンの源でありダイレクトに描くべきところなのに、その手の美味しいところを全部はしょって、脇役のセリフで「説明」させてしまっている。
ミュージカルとして歌で表現して一番盛り上げるべきところで盛り上げそこねてるし、セリフは長く不自然な説明口調になる。
そして過程をはしょった上で、いきなり「結果」がミュージカルナンバーになるので、観客の頭と心がついていかない。
秀民と万姫がお互いのどんなところに惹かれあっているのか、そんな秀民と並ぶくらい万姫の心を占めるようになったチャムガとの間には、魅力を感じるどんなエピソードがあったのか。
それらが描かれないから、万姫が「秀民からチャムガに心を移しかけている浮気女」になってしまう。
そう見せないよう演じるのがトップ娘役の技量ということかもしれないし、現にまりも氏は見事にそれに陥ることなく、愛と誇りを気高く保つ淑女を演じきっていたけれど、役者がそれを演じやすい脚本、観客にそれが伝わりやすい脚本を書くのも脚本家の仕事なのでは……?
これは何なんだろう、植爺が入団した頃のお芝居の作り方なのかな……?
守り受け継ぐべき技法だとでも思ってるのかしら。
さらに悪いことに、秀民とチャムガ、キャラがかぶっているのだ。
トップ男役と二番手男役は大抵の場合、真逆の持ち味のスター同士が配されることが多いので、自ずとキャラはそれぞれ立つのだけれど、流石に2人とも「人徳ある高貴な出身のリーダー」と属性がカブると、三角関係としてメリハリが無い。
いや、それまで純粋培養のお坊ちゃまと温かな恋を育んでた令嬢が、触るもの皆所有するみたいなワイルド俺様に惹かれるのも「お前の男の趣味どうなってんだよ!?」ってなるけどね?(けどそっちの方が「あっ、反動だな」って納得行くかもしれない……。)
あと植爺作品って「やかましい女」がやたら多くて、女がメインターゲットの商売をしていると思えないほど植爺の女への偏見がモロわかりなんだけど、よりによってこの作品は「やかまし女」役が2人もいる。
一原けい氏とすー様。
2人ともなまじ上手いだけに……。
けど植爺、すー様好きだよね。
じゃなきゃあの学年でマロングラッセやらせないもんね。
あのマロングラッセは見事だった……。
月まさみりオスアン編は全体的に脚本の編集クオリティも高かったのだ。
なぜあれをいつもできないのだ。
結果として、いつもの植爺作品の例に漏れることなく、「出演者」にフォーカスを置いて「良いとこ探し」をするしかなくなる……。
ハッ、こうして観客が生徒の魅力を見出すことも含めて植爺の計算……!? な訳ないか。
とりあえず、きりやん&まさおちゃんが2人とも「植田芝居役者」なので、演出&演技に関しては、植田芝居なのにびっくりするほどストレスがありません!!!www
あと越リュウの「色悪と思わせといてめっちゃいい奴」っぷり。
これ、前星組で演ったときはハッチさんだったのね……。そこだけ観たいわ……。
あと初演がツレさん主演だったと知り、俄然観たくなりました。
映像残ってないかなー、さすがに。
きりやんとツレさんて何となく似てるよねw