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ヅカ式宝塚鑑賞日記

小並感千本ノック

月組『銀の狼』初演

個人的にはコムさんの全ツ版のが好みなんですが、大劇場版のOPを観たくって観だした……。

このOPすごく好きなんです。暗くて深い、不穏な精神の森。

あのスローモーションみたいな、「止め」が多い振付、絶対大変だよなぁ……などと思いつつ。

打ち込み系の曲は古びやすいと言われますが、今聴いても格好いいですね。

贔屓目かな……。

あと、シルバが寝てた石舞台みたいなところが、ラストで花をたむける墓石? になってるんですね。メタファーかなぁ。

 

インテリアはアール・ヌーヴォーだし、後ろにミュシャ掛かってるし、正塚先生お好きなもの詰め込んだでしょ~! 感が半端ない。

ルパンでもわざわざ設定いじってこの時代にしてたもんね~!

(しかしジャンルイの政敵のオフィスはアール・デコ? 直線的なデザインで抽象画が飾ってあるのだ……細かい……。)

 

かなめさんのシルバは不幸巻き込まれ型の、どこまでも憐憫の情をくすぐるシルバだな~と思う。母性本能をくすぐるタイプ?

つやつやオレンジ系ルージュも危うくてドキドキするな。

ゆりちゃんはマット系のダークレッドなんです。ふふ。

 

あとこの時代、まだブラウン系のメイクが定着してなかったんですね。

ミキ様政権前か。

お芝居もブルー系のアイシャドウだ。

 

記憶喪失のシルバがレイの出自の話を羨みながら言う

「同じ理由を持った人間と気持ちが通う 同情じゃなく、な」

って台詞が、ラストシーンへの伏線になってるんだな。

やっぱ正塚作品は見返すとスルメるな。

 

ノンさんの投げ捨てるような台詞の言い方がすごく……正塚作品です……というか、正塚演出への順応性がやっぱり頭抜けて高いな、この方。

かなめさんとゆりちゃんは植爺が混ざってる感じ。

たぶん当時のスタンダードって後者だから、致し方なしだけど。

 

前回観たときはあまり意識してなかったんだけど、「デカとブンヤ」の曲、確かに可愛くて面白いな。

凰稀かなめさんがDSで歌ったってやつです。

というか、この刑事&記者の男女バディが終始可愛い。

マヤさんやコマちゃんがやってた「息抜き係」を、この作品だとこの2人がセットでやってるんだな。

 

シルバの復讐の物語であると同時に、レイとシルバの友情物語でもあるんだけど、レイがシルバとの関係を歌う「生き物が寄り添うように」って歌詞、めちゃくちゃやおいだな……と思いました……。

正塚先生はたぶん無自覚でこういうやおってるファクターを入れ込んでくるから油断ならない。

実はシルバの家族を殺したのがレイだった、ってのもやおってます。

 

事の真相が判明し、シルバも復讐を果たしても、大団円ハッピーエンド、とはならないのが、このお話の良いところ。

「帰る場所さえ失くした女 命の意味さえわからない男」になったシルバとミレイユが銀橋を渡り、シルバは新たな「命の意味」を、ミレイユを守ることに定めます。

理不尽に家族を奪われ、独りになった者どうし「同じ理由を持った人間と気持ちが通う 同情じゃなく」の関係になった2人。

 

「この世に二人だけ 朽ち果てるその日まで」。

明るい未来なんて見えなくても。

薄暗い中を2人を載せたセリが上がり、ぼんやりと曇りの夜の月明かりのような照明が2人を照らして幕になります。

最っっっっ高!!!!! やっぱり私が観た宝塚のお芝居の中で、最高のラストシーンの1つだわ。(『仮面のロマネスク』と双璧だと思ってる)

また観よう……。←

 

国境を越えた後かくまってくれた農家の奥さんがミトさんなんですが、若くてわかんなかったです。

『男役の行方』読んでてこれがミトさんだって知った始末。

たぶんこの本読んでなくて、キャプションも見落としてたら、いまだにミトさんだって気づいてない……。